先週の土曜日、夕方家に帰ってきたら見慣れぬ1通の封書が私宛に届いていた。
切手のない、手書きの宛名のその封筒は、市役所からのものだった。
中を開けてみると、紙1枚。
ヴェネツィア市役所
拾得物事務所
Tel.xxxxx
番号 xxxxx ヴェネツィア、2010年5月13日
宛先 Mxxxxx Fumie
住所 xxxx
貴殿に所属するものに関し、以下の拾得物事務所に支給連絡されたし。
ヴェネツィア市役所ロレダン館 S.Marco 4136 Tel. xxxxx
時間 xxxxx
・・・やっぱり・・・。
たぶん来るような、そんな予感がしていた。
そう、「あれ」に間違いない。
その2日前、私は市役所の戸籍課に赴いた。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが。」
「どうぞ?」
「カルタ・イデンティタ(carta identità、身分証明書)を失くしたみたいなんですが・・・」
「おめでとう!(笑)で、警察で紛失届は出しました?」
「いえ、まだ。やっぱり必要なんですね?」
「わざわざ遠くまで行かなくてもね、市役所の入り口に警察があるでしょ、これを持っていって、そこで言えばやってくれるから。」と、小さな用紙に必要事項を書き込んで渡してくれた。
入口に警察なんてあったっけ?と思いつつ、入口の警備室で聞くと、はたしてそこが警察だった。・・・市役所の警備って、警備会社でなくて都市警察がやってるんだ。
で、「2分待って」と言われた通り、持参した用紙をみながら、そこでさささっと「紛失届」を作成してくれた。それを持って再び、戸籍課へ。
パスポートと、滞在許可証を提示し、写真3枚を提出して、5.ナントカ・ユーロを払って、カルタ・イデンティタ(carta identità、身分証明書)を再発行してもらった。
そう、
期限延長の手続き(といっても、戸籍課に行ってハンコを押してもらうだけだったが)をしたばかりのカルタ・イデンティタが手元にないことに気がついたのは、今月の16日(日)。出先だったので、もしかしたらズボラな私は家の中でひょいと机の上などに置いてきてしまったのかもしれない、と思ったのだが、帰宅して家で探してもない。いくつか使ったバッグや上着、ポケットなどを探ってみても、どこにもない。
よーくよーーーく考えて、確実に使った覚えがあるのは先月27日。そのときはちゃんとしまった覚えもあるのだが、そういえば、そのあと、どこかで「ああ、こういうことしてると、いつかなくすよな、私・・・」と思った覚えがあって・・・それがいつ、どこでだったかどうしても思い出せない。
つい最近、大量に紙ごみ(古新聞)を捨てた覚えはあって、もしかすると、どこかにはさまったまま捨ててしまったのかも・・・ああ・・・。
昔から忘れもの女王な私だが、実はイタリアに来てから、すり・ひったくり・空き巣・盗難等の被害に一度もあったことがないのが自慢(よほどビンボーくさい格好で歩いているのか・・・)。唯一、数年前にヴェネツィアでさいふを落としたことがあるが、それは中身ごとまるまるそのまま保管されていて無事に戻ってきた。とりあえず、イタリアでこの10年、大事なものは一度もなくしたことがない。
だから今回も、なんとなく、誰かがどこかで拾って届けてくれるのではないか、と、淡い期待を持ちつつ、数日待ってみたが、待ち人現れず。考えてみれば、失くしてからずいぶん日数が経っている可能性もあり、やむなく、再発行申請に踏み切ったのだった。
手紙をよく見る。
記入されているのが5月13日。ハンコが押されているのが17日。封筒に記入された日付は20日。家に届いたのは22日。
そう、私は20日に再発行に行っているのだった・・・。ああ・・・。
昨日、拾得物事務所に行ってきた。
「貴殿に所属するもの」は、予想通り、なくなったはずのカルタ・イデンティタだった。
発見されたのは5月某日朝8:30、家の近くの水上バス乗り場。拾ったどなたかが、水上バスの車掌に預けてくださったらしい。名前も残さなかった方、ありがとうございました。
拾得物事務所の係員「もう再発行の手続きしてしまった?」
「・・・はい・・・」
「ああ、まだしてないと思ったのよね。」
「・・・(13日にも17日にもまだしてなかったんですが・・・)」
というわけで、不要になったその古い方のカルタ・イデンティタは、もう一度戸籍課に行って返却した。
しかし、それぞれが1日ずつ早く動いていてくれれば、再発行というお互いの手間が省けたのではないだろうか・・・?
いやいや、今回はもとはといえば、大事なものを落とした私のせい。忙しさにかまけて、なんとなく身の回りがおそろかになっていたのは事実。
はいっ、これからはちゃんと気をつけます!!!
余談:
A4の紙、1枚まるまる使うのはもったいないから、半分に切って使うのはおおいに結構、すばらしい!だが、それを手でちぎっているっていうのは???味があるというのか、なんというのか・・・。
25 maggio 2010