さりげな~い入口、「エノテカ(enoteca)」とあるけれど、ちょっとした食事もあるらしくメニューが外に貼ってある。
カンポ広場などの町の中心地から、フィレンツェ行きのバスが出るターミナルへ向かう道に面していて、しかも、ちょっとお昼の時間を外してしまったらほかに入るところもなく、せっかくなので試してみることにした。
エノテカ・アイ・バンキ(Enoteca ai banchi)、「カウンター酒屋」の名の通り、狭い間口のまま細長い店内の両側に、カウンター席が作られている。壁にはもちろん、ワインの瓶が並ぶ。
クロスにぶどうの刺繍があったりして、さりげなくかわいい。
いただくのはもちろん、トスカーナ名物、ピチ(pici)という太いパスタ。
しこしこのさぬきうどんに通じるこの太麺、こういうのは、シンプルなトマト・ソースにパルミジャーノをたっぷりかけて食べるのが一番おいしい。
デザートは、これも大好きでトスカーナに来たら欠かせないカントゥッチ(cantucci)。
アーモンドを丸ごと入れた生地を扁平状にして硬く焼きしめて、一度オーブンから出して1cm幅に切り、もう一度火に入れて作る、うっかりすると歯が折れそうなほどにカッチカチなこの硬ビスケット、こちらの人は、ヴィンサント(vinsanto)というデザート・ワインにひたして、やわらかくしてから食べるのが通常。私はビスケットがぶよぶよになるのは苦手なので、カッチカチのままのカントゥッチと、ワインとを交互にいただく。
入口を見て、入ったときには全く気付かなかったのだが、このエノテカ、実はグランド・ホテル・コンチネンタル(Grand Hotel Continental)というホテルのバール・レストラン。
だからさすがに、食事もちゃんとしたものが出てくる。ホテルのレストランというと、ふつうは敷居が(そしてお値段も)高いけど、ここなら気楽で、しかもこのカウンター席はお一人様にも気楽。
そして・・・お手洗いは?と聞くと、奥に抜けてホテルに入って、ガラスのエレベーターで地下に下りて、なんとホテルの立派なパウダールームをお借りすることになる。
ふつうのレストランやトラットリアは、昼食と夕食の間の時間は休みになるが、ここは(確か)そのお休みがないのと、なにしろ、忙しい観光客には便利なところにある。
そしてなにしろ、このお手洗い(しつこい)。
シエナに行ったのは、もうずいぶん前のことだが、まだこのお店を紹介していなかったことを今夜突然思い出した。
・・・トスカーナも今頃、おいしいものでいっぱいに違いない・・・。
Enoteca ai Banchi
Via Banchi di Sopra, 85 – 53100 Siena
Tel. 0577 56011
http://www.royaldemeure.com/it/grand_hotel_continental/enoteca_ai_banchi.htm
20 ottobre 2010