2カ月弱前、正確には2012年4月28日、イタリアに新しい鉄道が登場した。
その名も、Italo(イタロ)。
あのフェッラーリの会長であるモンテゼーモロ氏らの音頭により、最新の技術と快適なサービス、競争力のある価格をうたい文句に、これまで(元)国有鉄道トレニタリアの専売特許だった特急鉄道部門に、初めて私企業が参入したことになる。
今のところは、
ミラノ(ガリバルディ)、ボローニャ、フィレンツェ、ローマ(ティブルティーナ)、ナポリ
をつなぐ1路線のみだが、いずれ、ミラノ〜トリノ間、ナポリ〜サレルノ間、そしてボローニャ〜パドバ〜ヴェネツィア間まで延長されることになっている。(ヴェネツィア開通見込みは2012年秋)
新鉄道、といっても、線路や駅、ホームは既設の旧国鉄のものを間借り。なので、出発、到着の電子ボードには、一緒に載っているのは、便利といえば便利。もともとイタリアの駅には、改札がないので、同じ行き先の電車がある場合に、乗り間違えないよう、注意といえば注意。
ntvと書いてあるのがそれ。会社名がntv(新旅客交通)なので。
私はあらかじめネットで切符を購入していたのだが、停車駅には自動販売機があった。
電車の本数が限られているせいもあると思うが、確かにこれは(旧国鉄のと違って)わかりやすそう。
自動販売機だけではなく、駅にはインフォメーション・オフィスができていて、
その中にも外にも、制服をしたお兄さんやお姉さんがいっぱい立っているのだが、ちょっとうろうろしただけで、「お客様、なにかお手伝いすることはありますか?」と向こうから声をかけてきたこと!!!うーん、イタリアの公共施設で、そんなことにはお目にかかったことがない。さすが、「サービス」を掲げるだけのことはある。うん。
すでに切符は買っていたので、ちょこちょこと質問をしてみたが、なにしろにこやかで丁寧なこと。ああ、なんだかイタリアではないみたい・・・。
で、肝心の電車も、定刻よりちょっと早めに到着。
こちら、ニ等の車内。
んーーー。確かに新しいからきれいだけど、座り心地といい、広さ、そもそもの作りが、旧国鉄の特急の最新型のニ等と、ほぼ同じ。
一等はこんな感じ。
んー・・・。こちらもやはり、国鉄の一等と、基本はほとんど同じ。
そりゃ、F1じゃあるまいし、シートは一から作っているわけではなく、ある程度シート・メーカーによるだろうし、仕方がないのかもしれないが、正直、もう少し何か違ったものを期待していたので、ちょっと拍子抜け。
一等に限り、飲み物とスナックが出るのも一緒。
ドリンク用のスタンドが出せるようになっているのは◎。(一等のみ)
車内販売はなく、代わりに、二等には
例の自動販売機が!
隣にはカフェの自動販売機もあり。
ちなみに、お手洗いもさすがに、きれい。ふだんは極力、イタリアの電車ではお手洗いに行かないようにしているが、便座シートもついていたので使いやすい。ただし、ドアの鍵が、ボタン式で、これを押さないと鍵がかからないので注意!!!
肝心の、肝心の、発着時間については、1,2回乗ったぐらいでは何ともいえないが、今日はローマ〜ナポリ間、往復乗ってみて、どちらも到着は定刻より数分早かった!旧国鉄でミラノ〜ヴェネツィア間は、必ず、最低10分は遅れるのが当たり前になっているのに比べると、やっぱりきちんと到着するのは気持ちがいい。
これまた肝心の価格は、席数限定で半額ぐらいの格安チケットがあるほか、同じ路線ならば、イタロの一等を、旧国鉄の二等と同じくらいに設定しているよう。当然、二等はもう少し安いので、今のところは、安く、サーヴィスもよく、正確で快適、ということになるだろう。ただ、旧国鉄の方も格安チケットを売り出しているので、そちらの方が安いこともあるかもしれない。
また、線路やホームを間借りしているのが気になるところで、たとえば旧国鉄がストのときは?不慮の事故や信号故障などの際には、当然一緒に止まってしまうだろう。
そして・・・こんなにピカピカ、デビューして2カ月足らずだというのに、今日は、一車両、空調が故障していた。突然の猛暑、外気温32℃に加え西日地獄でサウナのようになったその車両の乗客たちが、空調の効いた車両に民族大移動を行っていた。
さらに・・・・全車両、WiFiが無料、というのもウリの1つのはずなのだが、これもどうやら、あまりつながらなかったりするらしい。
ああ、やっぱりイタリア・・・。
鳴りもの入りで登場した割に、どうも微妙、だと思ってしまうのだが・・・。
ま、たとえ似たもの同士であっても、イタロくんの言うように「選択肢ができた」のは事実。同じ期間ならば価格と時間帯を比較できることになる。また、ミラノは中央駅でなくガリバルディ駅、ローマもテルミニでなくティブルティーナ駅に発着するので、これも、場合によって便利、不便、どちらもあるだろう。
もっとも私は、ヴェネツィアに延長されるまでは、ふだんはあまり使う機会もなさそう。
17 giu 2012