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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「ブリューゲル王朝」展、コモ

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コモ、オルモ邸
7月29日まで

La dinastia Bruegel
Como, Villa Olmo
24 mar – 29 lug 2012
www.grandimostrecomo.it

ミラノから小一時間、コモ湖のほとりにある19世紀の貴族のお屋敷、オルモ邸(Villa Olmo)で、フランドルの画家ファミリー、ブリューゲルの展覧会が行われている。

フランドルの民衆のふだんの生活やお祭りの姿を、大きな画面の中にこまごまと、だが、生き生きと描いたピーテル・ブリューゲル(1525/30- 1569)の作品は私ももともとは大好き。イタリアに来てからは少し遠ざかってしまっていただけに、彼の作品を久々にじっくり観ると同時に、一大画家ファミリーとなったその子孫たちを理解するのに、ちょうどいい機会だと思ってでかけた。




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「王朝」とはよく言ったもの。
展覧会入口にあった、大ファミリーの家系図を簡単にメモにとり、いざ、臨んだところ、第一室はいきなり、大ピーテルの孫、ヤン・ブリューゲル(子、1601-78)から始まる。・・・というか、見ればみるほど、ヤン(子)の作品が続く。

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それはそれでいいし、確かに、「農民画家」ともいわれたピーテル・ブリューゲルの孫とはいえ、時代の流れ、嗜好に伴って画風だけでなくテーマも変化していっていることはよくわかる。美しい絵本の挿絵のようなあのスタイルはすっかり姿を消し、写真のように精巧に描いた静物画や、寓意画がほとんどで、とくに「4大要素のアレゴリー(寓意画)」、すなわち土、水、火、空気のアレゴリーは、その中に、海の生き物、鳥類、動物、植物・・・とさまざまな自然界の生物をまるで図鑑のように描きこんだもので、当時のオランダ社会で流行したものだという。

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「聴覚」のアレゴリーもまた、楽器一覧表のような絵で、やはり同じ嗜好によるものだろう。

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静物画、図鑑のような寓意画と同時に、大きく発展したのが風景画。大ピーテルがこまごま、生き生きと描いたふつうの農民、民衆が、ここではもはや表情はおろか、深い緑の風景の中で、姿さえも溶け込んでしまっている。

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宗教画にしても、かつてヴェネツィアで、ヤコポ・ティントレットが、スクオラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ(Scuola Grande di San Rocco)という同信会館で描いた「エジプト逃避」で、登場人物を見事に美しい緑の風景の中に配置したが、ヤン・ブリューゲル(父、ピーテルの息子)の絵の中では、聖母子とヤコブは、そう言われなければわからないくらい小さく描かれている。
聖書の場面というよりはむしろ、完全に、風景画の一枚のようになっている。

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川の風景、水辺の風景については、素描も多く展示されており興味深い。

・・・と・・・。
・・・で、いや、だが、「あの」ブリューゲルは一体どこに?

結局、大ピーテルの作品は、本人および工房の作とされ、あんまり「あの」ブリューゲルらしくない、「キリストの蘇生」一枚のみ。

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「王朝」展とはいえ、ブリューゲル「王朝」の祖、「大」ピーテル・ブリューゲルの作品がこれだけというのは、あまりにもさみしい。

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まあ、大ピーテルの息子、小ピーテルの作品はいくつかいいものがあったのと、ブリューゲル登場の予兆として、ボッシュの「7つの悪徳」(ジュネーヴ、Geneva Fine Art Foundation蔵)が展示されていたのが、まだ救いといえば救いか。

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27 giu 2012
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by fumieve | 2012-06-27 23:10 | 見る・観る
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