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ヴェネツィア ときどき イタリア

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外国遠足日記帖(文春文庫)、岸田今日子・著

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新しい本ではないので、ご存知の方には「いまさら・・・」かもしれない。
あの、岸田今日子さんの旅日記は、なんとインドから始まる。ロンドン、北欧、ドイツ、カルガリー、チェコ、香港、そしてイタリア。完全な自由旅行あり、ツアーあり、仕事がらみ、目的やきっかけはそのときそれぞれながら、毎回その旅を素直に楽しんでいらっしゃるのが、なんというか大女優にそぐわぬというか、「ふつう」な感じがとてもいい。今どき風に言うと「ユルイ」というのか。(すでに古い?)
どうせ行くならば!と、何もかもぎっしり詰め込んだ、超・意欲的な旅でもなく、セレブの超・贅沢・豪華な旅というのでもなく。初出が1985年から90年だから一昔前のこととはいえ、案外、私たちと同じような、ほんとに「ふつうな」旅をしているのに驚いてしまう。
しかもその大半の同行者が、今日子さんのお嬢さんと、これまたあの、吉行和子さん。
ほとんど名所旧跡に興味がない、と言い切る今日子さんと和子さん、旅先でついつい目についてしまう人が同じだったり、一方で、一緒にショッピングして、すてきな洋服が似合う和子さんに少々嫉妬したり。これまた、いかにも普通の女友達、母娘の旅らしくて、まあさすがに、女優ならではの発想や会話もあるのだけど、それでも、映画好きの人だったら女優でなくても十分にありそうな話。で、何よりとっても、自然体で楽しそう。
それでもお嬢さんにはときどき「職業病」と言われてしまったりするのだが、ローマで「真実の口」に手をつっこんでいる今日子さんの姿は、どう見ても世界中の一般観光客と全く変わらない。写真も、テレビや撮影のお仕事ではないから、ふつーのスナップなのがまたいい。

イタリアに来る前には、いわゆる旅行記みたいなものもたくさん読んだが、最近はあまり、あえて選んで読むことは少なくなっていた。偶然、友人にもらって読んだのだが、イタリアの章も、ふんふん、そうそう、ははは・・・ぷっ!と大半を笑いながら読んだ。
こうして、文字を通して人を和ませてしまうのもまた職業病?あるいはお人柄なのだろうか?
ご本人が気にされるほど危なっかしすぎず、といってこだわりすぎるでもなく、適度におっちょこちょいで、またちょっとした事件に対する回復力は抜群。
岸田今日子さんという方は、恐れ多くも、一緒に旅をするのに最も楽しいタイプとお見受けした。

13 dicembre 2012
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by fumieve | 2012-12-14 00:17 | 読む
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