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トルナトーレ監督最新作「La migliore offerta(ベスト・オファー)」に脱帽!

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絵画と、友情と、愛情と。
そしてたぶん、それぞれの人生と。
何がほんもので、何がにせものなのか。

「真作」と「鑑定」されただけで価格が何倍、いや、場合によって桁数がいくつも変わるほど価値のあがる美術作品。どんなに質が高く、状態がよくても、「偽物」と「鑑定」されるだけで、その逆も起こりうる。
だが、その「鑑定」とはいったい、何だろう?

超一級のオークション・ハウスの鑑定・競売人、潔癖性なまでの完璧主義のオールドマン氏は、密かな、だが彼らしい趣味を持つ。その彼が、お屋敷ごとまるまる鑑定の依頼を受けて出向いた先には、10年来、人前に姿を見せたことがないという妙齢の(美)女、家主クレール(クレア)が。
華やかな世界に身をおきながら、(もちろん大金持ちながらも)静かな、孤高の人生を愛する彼の生活が、わがままで気まぐれな、見えない家主に振り回され始める。冷徹だったはずの彼に生まれる感情、そして、ひょんなことから育まれる友情。
ありそうな、なさそうな、そんなストーリー展開の中で、くだんの2人が、いつのまにかめでたしめでたし・・・となりかかったところでは思わず、「うわーなんてつまんない映画・・・」と心の中で舌打ち。だが、あっさり終わるのかと思ったそこからのどんでん返しが、ともかくすごかった。前言撤回、ごめんなさい!

決して小さいとはいえない、罪を重ねてきた男の因果応報、と言ってしまえば簡単だ。だが、それにしても・・・。見終わってはじめて、そうか、実はあれはこういうことだったのか、ここでこうなっていたのか、といろいろな伏線に気付く。いろいろな意味で、「用意周到」ぶりに、唸る。
そしてこうして思い返してみてあらためて、最後の最後の場面にほんのちょっと救いを見出し、自分を納得させる。

ほんものと、にせもの。
そう、自分がほんものと信じるものこそが真実、なのではないか、と。


イタリア在住者であるから、理解しなくてはいけない、わかってあげなくてはいけないとような、言い訳まったくなしに、イタリア映画で文句なく「これは面白い!」と思えたのはいったいいつ以来だろう?
もっとも、監督・脚本は、あのジュゼッペ・トルナトーレ氏だし、音楽もおなじみのモッリコーネ氏と、製作は確かにイタリアなのだが、オリジナル言語は英語(私が見たのは、イタリア語吹き替え版)で、場所はあえて特定されないし、登場人物の名前も英語だし、あまりイタリア映画らしくない。(もっとも私は個人的に、途中でローマのよく知っているレストランの場面があったために、ずっとローマが舞台なのかと思って観てしまったのだが。)
小説でもいいけど、これはやはり映画がいい。映画のよさを生かした、映画らしい映画。

La migliore offerta(最高の提示、ベスト・オファー)
監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 Geoffrey Rush, Jim Sturgess, Sylvia Hoeks, Donald Sutherland, Philip Jackson
124分、イタリア

15 gennaio 2013
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by fumieve | 2013-01-15 18:49 | 映画
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