ラヴェンナの観光の中心地である、サン・ヴィターレからわずか百メートルのところにある「石のカーペットの家( Domus dei tappeti di pietra)」。現在のサンテウフェミア教会(Chiesa di Sant’Eufemia)に入ると、奥に小さな入口がある。
今からちょうど20年前、1993年にこの近くの建物の地下工事をしていて発見されたもので、調査の結果、一帯でローマ時代以降のいくつかの建物の跡が確認されたが、とくに「大発見」だったのは、この6世紀の「家」。700平米、全14室、そのうち広い範囲で、モザイクの床装飾が見つかっている。
多色の石を並べて模様や絵を描いた床のモザイクは、しばしば「石のカーペット(tappeto di pietra)」と呼ばれることから、この建物もそう名付けられて、2002年より博物館として公開されている。
ご近所のサン・ヴィターレや、グラードなどでも見てきたような、幾何学模様がほとんどだが、その中に2つ、「絵」が含まれている。
1つは、「よき羊飼い(Buon Pastore)」。サン・ヴィターレに隣接するガッラ・プラチディア廟で見られるように、この当時、キリストそのものを現すのによく使われた図像だが、一般的なキリスト像と服装などが違っていること、ほかにそれらしき図像が一切見つかっていないこと、もともと「羊飼い」はローマ時代から好んで描かれた題材であることなどから、キリストを現している可能性は高くない。
もう1つは、これも大変めずらしい「四季の精霊のダンス(La danza dei geni delle quattro stagioni)」。
一番わかりやすいのは正面の、たくさん着込んでいる「冬」。背を向けているのが「夏」・・・かと思ったらそうではなく、解釈がいくつかあるようだが、これはともかく、「春」か「秋」らしい。左が、そのどちらか、欠けていてほとんど見えないのが「夏」。
おもしろいのは、後ろに笛吹きがいることと、彼らの足元には影ができていて、いかにも「踊っている」様子が生き生きと描かれていること。天井(?)の飾りもまた、その楽しげな雰囲気を盛り上げている。
館内撮影禁止のため、写真は、http://www.sistemamusei.ra.it/ 、http://www.viaemiliaedintorni.it/、http://www.emiliaromagnaturismo.it/ から拝借した。
Domus dei Tappeti di Pietra
Via Barbiani, Ravenna
http://www.domusdeitappetidipietra.it/
26 novembre 2013