昨日の
ギャラリーめぐりのハイライトは実はこちら。
東京と、ミラノとを最近は行き来して活動を続ける香里さん。薄布や糸、紙を使った、繊細でエレガントな作品は、これまで
ミラノや
ピアチェンツァ郊外のグループ展で観る機会があったけれど、今回は都内のギャラリーを使っての個展。なんとか最終日に間にあった。
イタリアと日本の往復、そして、2010年に「こことそこの間」という企画展に参加して以来ずっと、「ここ」と「そこ」の概念と、それをつなぐものを意識してきたという香里さんが今回選んだのは木版という手法は、日本の伝統であり、かつ、自らの表現方法としてずっと追い求めてきたもの。これもまた、版を彫るという作業から、それを紙に刷った作品への距離を意識して制作することになる。
その木版の風合いはもちろんのこと、木や葉、空の雲をモチーフにした連作は、日本で見ても極めて日本的。だが、通常の木版であれば、一枚の和紙の上で、重なり合って平面を構成するはずの色と形が、オーガンジーという素材を使うことにより、透明感が生まれ、さらに、それをキャンバスの油彩画のように木枠の表と裏に張ることで、立体感を持たせた。あちらと、こちらの間をつなぐ細い糸が、そこにある空気の存在を確かにさせる。
同じ版が、上下、あるいは裏表を反転させると全く別の様相を見せる、そのアソビも面白い。
どんな美術作品もそうだが、とくにこの作品群は、写真ではなかなかそのよさが伝わりきらない。残念ながら今回は会期が終了してしまったが、またどこかで展示される機会のあることを願う。
空へ降りる方法
il modo di scendre al cielo
ベイスギャラリー
http://www.basegallery.com/
2013年11月15日〜12月21日まで
22 dic 2013