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ヴェネツィア ときどき イタリア

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モネとカイユボット、日本で大堪能

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国立西洋美術館の核となっているとはいえ、あらためて「松方コレクション」なるもののすごさに唸る。
日本が「開国」し、「近代化」を急ぐ頃、フランスの都パリでは新しい芸術の波が生まれつつあった。日本から洋行した芸術家や政治家、実業家たちはパリで目のあたりにしたのはまさに、モネの「印象、日の出」という作品のタイトルから「印象派」と名付けられたその動きだった。今そこにいる人が試行錯誤の末に次々と花を咲かせていた。モネを初めとする当時の芸術家たちと親交を深めた松方幸次郎氏は、そんな同世代の彼らの作品を積極的に購入する。彼らにとって、強力なパトロンであったばかりか、新しい風をもたらした日本の美を運ぶ直接の伝道師でもあっただろう。
近代日本にとって最初の「洋画」、松方コレクションと、やはり印象派の作品と多く有するポーラ美術館と、日本にこれだけのモネの作品が揃っていることが、いまさらながらなんだかありがたく、とっても嬉しく感じた。




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モネとセザンヌ、あるいはシャヴァンヌとピカソ、そしてモネとモネ、など、同一あるいは類似したテーマの作品の比較も面白い。
(このあたりは公式サイトの解説に詳しいので、そちらをぜひ・・・
http://www.tbs.co.jp/monet-ten/nmwa/gallery/gallery1.html )

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やはり裕福な家庭に育ち、印象派の画家たちのパトロンであり続けたギュスターヴ・カイユボット。ただし、松方氏との違いは、カイユボット自ら絵筆を握っていたこと。
パリのオルセー美術館の常設をはじめ、あちこちの「印象派」展でいくつも、カイユボットの作品も眼に触れているはずなのだが、さすが日本初の回顧展とあって、これだけの作品をまとめて、彼自身に焦点を当てて見るのはもちろん初めて。

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肖像画も風景画も、自由奔放なタッチを見せるマネやモネに比べるとずっとクラシックで、とくに今回気がついたのは「ピアノを弾く若い男」をはじめ、壁紙やカーペットなど、細部の描きこみが繊細で美しく、どちらかというと装飾的なこと。

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そして、彼の弟、マルシャル・カイユボットの写真も数多く展示されていて、それがまた興味深い。当時のパリの様子、家族の中でのギュスターヴ・カイユボットの姿。実際には、絵よりだいぶ後に撮影されたものも多いのだが、おそらく、ギュスターヴの創作に写真という技術が生かされていたであろうことも想像がつく。

日本で久しぶりに、ゆっくりと印象派を楽しんだ。

モネ、風景をみる眼
ー19世紀フランス風景画の革新
国立西洋美術館
2013年12月7日〜2014年3月9日
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2013monet.html

カイユボット展
都市の印象派、日本初の回顧展
ブリジストン美術館
2013年10月10日〜12月29日
www.bridgestone-museum.gr.jp/caillebotte

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(画像はすべて、それぞれ公式サイトより拝借した)

28 dic 2013
by fumieve | 2013-12-29 01:21 | 日本事情
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