ナポリ空港内で、めずらしい展覧会が行なわれていた。
1708年にヨーロッパで初めて、「磁器」の製造がマイセンで「発見」されて半世紀弱の1743年に、ナポリにカポディモンテ工房が設立された。磁器としての質の高さ、絵付け、造形の美しさで工房は大成功を修める。ところが、1759年には、創立者であるブルボン家カルロ王は、 わずか9歳の息子フェルディナンドに王位を任せ、自分は技術者、職人たちをすべて引き連れてフランスへ戻ってしまう。
カポディモンテ工房が「復興」し、再び脚光を集めるようになるのは1773年のこと。それからはナポリの仏軍占領で工場が停止となる1806年まで、美しい磁器工房として名を馳せた。
1807年に、ジュゼッペ・ボナパルテは、同工場をスイスの私企業に売り渡す。
王国消滅後も、風光明媚な観光地として栄えていたナポリでは、磁器に限らず、それまで同様に美術的嗜好品も多く作られていたが、19世紀後半は質の低下を免れなくなっていった。磁器に関して言えばそれは、昔ほど良質な原材料が手に入らなくなったためでもあった。
幸いなことに、陶器・磁器の伝統の保護・育成は、美術院がその役割を担うようになった。そして、今はたいがいは家族経営の小規模の工房が、ほそぼそと生産を続けている。
厳しい環境で活動を続ける、そんな工房を支援、宣伝するため、ナポリ商工会がこの展覧会を企画。カポディモンテ磁器の伝統を現代に受け継ぐ工房10社および専門学校1校による、それぞれの代表作品をナポリ国際空港内、搭乗口への通路に展示した。
南イタリアは、いわゆる「マヨルカ焼き」のような、カラフルな「陶器」の産地も多く、高級品からおみやげまであちこちで見かけるけど、実は「磁器」だってある。陶器ではあり得ない繊細な造形や、それにのせた繊細な色。カポディモンテの伝統を守る工房が、ナポリ県内にこれだけあるということ、嬉しく、たのもしく思った。
たいていは忙しく通りすぎるだけの通路で、少しでも多くの人が目を留めてくれるといいと思うが、どうだろう?
また、空港内の搭乗者用なので、飛行機で出発する人しか見られないのも残念。何か連動した企画が、町の中にもあるといいのだが・・・。
(内容説明は主に、公式サイトの要約)
おまけ・・・
あっこんなところで殺人事件???さすがナポリ!
・・・と思ったら、哀れ立て看板が倒れているだけだった・・・
ポーセリン
カポディモンテ 伝統発見への現代の旅
2月28日まで
Porcelain
Un moderno viaggio alla scoperta della tradizione di Capodimonte
Nuova sala imbarchi al primo piano del Terminal, Aeroporto di Napoli
5 dicembre 2013 - 28 febbraio 2014
http://www.porcellanedicapodimonte.it/
9 feb 2014