ポンペイのミニチュアのような、
ヴァチカンの「トリオンファーレ通りのネクロポリス」は、墓所の室内がまさに当時のローマ人の家と同じように、フレスコ画や漆喰、大理石や彫像で飾られているのだが、当然のことながら床もモザイクで装飾されているところもある。
家がミニチュアなのに、モザイクのテッセレ(tessre、そのために四角く切った石片)は通常の家と(たぶん)同じ大きさだから、中には1モチーフで1部屋がいっぱい、みたいになっているところもある。
でも、ここのモザイクで圧倒的にすごいのは、これ。
部屋の正確な大きさはわからないが、上から見た感じ、2mx2m くらいだろうか。
ぶどうの蔓に囲まれているようで、遠目にはバッカス(イタリア語ではバッコ、酒神)かと思ったが、真上から見ると正面に立つのは女性のようにも見える。背の側に矢が見えるから、ヴィーナスとキューピッドだろうか???・・・キューピッドにしては大人過ぎるような気がするし、中心の人物もヴィーナスにしては筋骨隆々すぎるか・・・?また、今どきの感覚からすると、あまり墓地にふさわしいモチーフとも思えないが・・・。当時はこれはこれで意味があったのだろうか・・・???
にしてもお昼休みがなくなって、モノトーンで、写実的というよりは様式化した絵ながら、細かいテッレを使ってほんとうに凝ったモザイクで、美しい。死者のための家の床にこれを作らせてしまうのだからすごい。
あの世での幸せを願って、豪華な装身具一式を埋葬者にそえるのは、古代エジプトから中国、そして中世のロンゴバルドなどの元・遊牧民族ら、古今東西あまり変わらない。だが、立派な家を建てて、その家を妙にきっちりと整えるのは、なんだかとてもローマ人らしい気がする。
トリオンファーレ通りのネクロポリ
Necropoli della Via Triumphalis
http://www.museivaticani.va/
12 apr 2014