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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ボッチョーニ、画家 彫刻家 未来派

Boccioni, pittore scultore futurista
Milano
Palazzo Reale
Dal 6 ottobre al 7 gennaio 2007
www.mostraboccioni.it
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ボッチョーニ、画家 彫刻家 未来派
10月6日-2007年1月7日

ピカソ、メダルド・ロッソ、そしてボッチョーニ、と、同じ「女性の頭部」をテーマにした、全く作風の違う作品を並べてあるのも面白い。また、20世紀の初めに、工業化、近代化された新しい社会の「スピード」、動きあるものを一枚のキャンバス上で表現しようと試みたイタリア未来派の画家たちの作品も並ぶ。
それでも、これほど、最初からクライマックスがはっきりしている展覧会もそう多くはないだろう。

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ダイナミズムを空間の中でとらえる、空間の中に溶かしこんだらどうなるか、絵画では勝利を収めつつあったが、では、彫刻でそれを表現できないか・・・。その探求が、「空間の中の連続性の固有の形」 (Forme uniche della continuità nello spazio) という形で完成した。この作品の後、ボッチョーニは再び、絵画へと戻ったのだという。
それも納得できると思った。この有名な作品は(イタリアの20セント・コインにもなっている)、展示第12室、広い空間の真中で、孤高にも、足をしっかりと前に踏み出していた。
彫刻は(絵画と違って)、四方八方から見ることができる、絵画は彫刻にかなわない、と言ったのはミケランジェロ。その「四方八方」に挑戦し、対象をさまざまな角度から見、それを1枚のキャンバスの上に再構築したのがピカソをはじめとする「キュービズム」といわれた運動。
もちろん絵画にしても、いくら等身大のカラー写真で見たところで、それは絶対に自分の目で見るのとは違う。が、確かにこれは、写真だけでは、いや何枚写真を重ねたところで、絶対にその本質が伝わらないだろう。
歩く。力強く振る腕、地面を掴むかのように歩く足。スローモーションの映像をそのまま形にしたかのように、体が、流線型になびく。正面、裏、ぐるぐる回って見ると、前及び後ろ、といえばいいだろうか、要するに顔、またはお尻に向かって彫像を見ると、横から見たときに比べずいぶん薄い、つまり彫像が思っているよりも平べったいことがわかる。なるほど、人の形も、前進するときには、ちょうど馬や自転車のようになるということか。この後、ボッチョーニの興味が「馬」に集中していくのは偶然だろうか?

絵画作品の中で、明らかな贋作があるというのでも話題になっていた展覧会だったが、雑音を取り払って、Forme Uniche...だけ見に行っても十分価値があると思う。

2 dicembre 2006
by fumieve | 2006-12-03 08:51 | 見る・観る
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