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カンディンスキーと、イタリアの抽象主義、1930-1950

カンディンスキーと、イタリアの抽象主義、1930-1950
ミラノ、パラッツォ・レアーレ

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Kandinsky e l'astrattismo in Italia 1930-1950
Milano, Palazzo Reale
2007年3月10日-6月24日
http://www.kandinskyeastrattismo.it/

期待しすぎた、のだろうか?
もう20年(!)くらい前になるだろうか、東京の近代美術館でカンディンスキー展があって、なんとなく惹かれて見に行った。絵画・美術一般、見るのは好きだったけど、とりたてて勉強したこともなかったころ。そして、カンディンスキーなんて名前も知らなかったのに、一目ぼれして、ポスターだの葉書だの買い込んできた。
その後、あちこちの現代美術館で見る機会はあったけど、作品をある程度まとめて見るのは、それ以来始めて。ところが、思っていたよりもカンディンスキーの作品が少なかったのと、後半は説明不足で十分に楽しめず、がっかりしてしまった。
まず、入口ではカンディンスキーの紹介、年表などを大きく表示。あたかも「カンディンスキー」の単独展のよう。期待に胸を膨らましつつ入ると、すぐに「コンポジションVII」(1913年)が。あれ?いきなりこれを出してしまっていいのか・・・???彼の抽象画は、「印象」→「即興」→「コンポジション」と発展していくのに、いきなりそれ?
なんとなく嫌な予感は的中して、結局、その後、バウハウス時代、パリ時代少々で、カンディンスキーの部屋はあと2つほどで終わってしまった。
そこから、「イタリアの抽象主義、1930-1950」の部門に入るのだが、こちらは完全に説明不足。それぞれの部屋に、1人か2人の画家の名前がついていて、それぞれの履歴をまとめたものが貼ってあるだけ。それもイタリア語のみ。カンディンスキーの方は、部屋ごとの説明が、伊・英文二カ国語であり、壁には大きくカンディンスキー自身の言葉などを印字してあったり、と趣向を凝らしてあったのに。ちなみに、壁に直接、自著のフレーズ、あるいは批評家や友人の(当時の)コメントなどを載せるのは、はやりなのかあちこちで見かけるが、いかにもその世界に囲まれているような気分になり、効果大。(もっともこれはイタリア語のみだったが・・・)
「イタリアの・・・」に戻ると、まず、見るからにカンディンスキーの影響を受けているのはまあわかるとして、では果たしてそれが、「真似」でなく「影響」といえるのか、それをどう消化していったのか。または、彼らが表現したいのは何なのか。抽象画は、抽象であるからこそ、うまく見せてもらわないと、全く理解できない。「感覚」でわかってね、それで好きなら好き、(ゲイジュツが)わからない人はサヨウナラ、なのかもしれないが、それならここで1つの展覧会として、広く一般大衆に見せる意味がない。
例えば、「コモ派」と名づけられた部屋。こちらの無知は否定しないが、なぜ、ミラノでなく、その北にある湖畔のリゾート地、コモなのか?ただコモ出身だったり、コモで活躍したらしい画家の作品が並べられていても、なぜその時代にコモに芸術家が集まったのか、まったくわからないし、そもそも「派」と呼べるほど特徴的な作品でもない(ように見える)。
カンディンスキーは、言ってみればまあ多くの人が知っているわけだし、そこに大きな説明をさくくらいなら、知名度の低い、後の部分をもう少しプロパガンダすべきなのではないか?
救いは、「照明がすばらしい」と友人が書いていたように、カンディンスキーの大作3点、「コンポジションVII」(1913), 「ムーヴメントI」(1935), 「Blu de ciel」(1940)の配置と照明がほんとうに見事だったこと。ここまで美しく見せてもらえれば絵も本望だろうと思った。特に、「ムーヴメント」は、2次元であるはずの平面の絵なのに、底なしの奥行きがあり、かつその中で各々が動いているような、3次元とも4次元とも言える世界に見える。

カンディンスキーと、イタリアの抽象主義、1930-1950_a0091348_611747.jpg


タイトルにだまされたか、と思ったが、やはりこの展覧会はたとえ作品数が少なくても、カンディンスキーを見るためにあるのだろう。
彼の著作も、買って手元にあるのにまだ読めていない。今度こそ、ちゃんと読んでみよう・・・。

8 aprile 2007
by fumieve | 2007-04-09 06:08 | 見る・観る
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