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ヴェネツィア ときどき イタリア

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チェッキーナ

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チェッキーナ

La Cecchina
Teatro Malibran

ヴェネツィアの音楽院の学生による、オペラ公演があった。
18世紀ヴェネツィアを代表する喜劇作家ゴルドーニの台本に、ニッコロ・ピッチンニの音楽(1760)。今回の演奏は、原作のテキストを変更することなく、かつ、話の流れを損なわないように編曲して1幕に仕上げたもの、とのこと。
5月9日から11日の3日間、キャストを代えての公演。9日(水)、10日(木)は午前中の公演だったのは、地元の小学生たちを観客に迎えるためもあったらしい。最終日、今日は、午後8時からだった。

公爵と庭師娘チェッキーナ、身分違いの恋に悩むが、娘は実はドイツのさるご貴族の娘だったことが発覚しめでたし、めでたし、というわかりやすいシンデレラ物語。
注目は、友人の友人でもある、タイトル・ロールを演じたOlivia Badiu。セリフの部分で、時々聞き取りにくい部分があったものの、若いのに落ち着いた深い声で、安定して最後までして聞かせていた。
特に目だって、圧倒的に会場を盛り上げていたのは、メイドの2人、サンドリーナ役のChiara Isotton, パオルッチャ役のElisabetta Montino。ばかばかしく大げさな演技も余裕でこなし、ぴったりと息のあったところを見せる。あまりの堂々たる迫力にてっきり学生ではないのかと思ったが、後でプログラムをよくみたら、サンドリーナ役は日替わりになっていたので、やはり学生なのかもしれない。へんてこりんな演技もものともせず、顔を真っ黒に塗って明るくて調子のいい黒人メイドに完全になりきっていた・・・うまい。
男性陣は、個人的にあまり惹かれなかったが、場をずっと支配していたのは、実は一言のセリフも歌もない、浮浪者役、Claudio Civiero。最後が、とんでもない演出になっていたが・・・。
もともとふだんからジェスチャーが多く表情が豊かなイタリア人たちは、あえて「演技」をすることもなく、舞台でもそのままで十分魅せるのだが、いい意味で、学生芝居の「悪乗り」とでもいったらいいだろうか。変な演出が続々だった。
もっとも、主役の二人のみによらず、こうして脇でどんどんいい味が出てくるのが、喜劇の楽しみともいえるだろう。そういえば、チェッキーナに恋するメンゴット役のEdoardo Cavalliも、ほとんど声よりも目で魅せていたといってもいいくらい。

20世紀初頭におきかえた舞台背景や衣装も、効果的でよかった。ただし、個人的には、肝心のチェッキーナの衣装が残念だった。庭師ではなく、花売りスタンドの娘、という設定になっていたのだが、まったく花売りらしくない上に、バレエ・ダンサーならともかく、一般の女性があまりきれいに見えない。
それ以外のキャストの、摩訶不思議な「かつら」や、付け髭ならぬ、「描き」髭はご愛嬌。

観客の大半は、音楽院の学生やご家族、関係者と思われるが、喜劇らしく、あちこちでくすくす、ところどころでわっと客席が沸く、楽しい公演だった。

彼らの今後の一層の精進と活躍を大いに期待したい。

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11 maggio 2007
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by fumieve | 2007-05-12 20:23 | 聞く・聴く
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