人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

第64回 ヴェネツィア国際映画祭~3

第64回 ヴェネツィア国際映画祭~3_a0091348_3244143.jpg


I’m Not There(アイム・ノット・ゼア)
監督 Todd Haynes
出演 Cate Blanchett, Richard Gere, Ben Whishaw, Christian Bale, Heath Ledger, Marcus Carl Franklin

全編を通して、バックに流れるのはボブ・ディランの歌声。
名前も年代も違う6人の人物の生活の断片が、交錯する。天賦の才能を見せながら放浪を続ける黒人の少年。かつては愛したはずの妻と二人の娘と、家族内での葛藤に苦しむ男。政治的シンボルに祭り上げられて困惑する1人の歌手。
共通するのはギターを弾き、歌を歌っていること。もともと「多重人格的」といわれるボブ・ディランの人生を、顔も姿も背景も違うこの6人で見せている。
伝記とも違う、1人の人物をさまざまな面から見て再構成した、まさに「キュビズム」的な作品。
例によって、語学的な限界の問題と、構成が複雑なこともあり、細かいところまで完全にわかったとは言い難い。ただこの作品の場合、全部わかる必要はおそらくないと思う。わからなくなったらディランの歌に身をゆだねればいい。
異常な人気を前にアルコールとドラッグに溺れる、ガラスのように繊細な天才スター、一番ディラン本人の面影を見せていた役を演じていたのが、なんと女性(Cate Blanchett)だと後で知って驚いた。
もう1度見てみたい作品。

Bangbang wo aishen (Help me eros) (ヘルプ・ミー・エロス)
監督 Lee Kang Sheng
出演 Lee Kang Sheng, Yin Shin

カップラーメンのお湯を沸かしながら、電話でしきりにいいわけしている若い男。失業したのか、投資にでも失敗したのか、人生に失望したらしい。
そんな若者と、夜の町で仕事をしている女の子たちとの物語。
彼女たちは、ガラス張りの箱の中、数段高くなったところにミニスカートや網タイツ、体を思いっきり露出した姿で座っている。タバコ屋の一種らしく、顧客が目の前に車をとめるたびに、セクシーポーズで出迎える。言ってみれば、ただそれだけ。
男は自宅でマリファナを栽培している。女の子たちとトランス。
残念ながら、この映画で何がいいたいのか、何を表現しているのか、全くわからなかった。
台湾出身の監督によるこの映画も、その性的描写の多さが議論を呼んだ。


Hotel Chevalier
The Darjeeling Limited
監督 Wes Anderson
出演 Owen Wilson, Adrien Brody, Jason Schewartzman, Wally Wolodarsky, Waris Ahluwalia,

The Darjeeling Limited が、コンペ参加作品で、Hotel Chevalierはその前編というか、13分のプロローグ。だから見なくても本編に影響はないし、だけど見ておくとより面白い。
久しぶりに出会った3人兄弟。遠い昔、自分たちを置いて出ていった母親を探しに、インドを3人で鉄道旅行する。The Darjeeling Limitedは、その電車の名前。
いってみれば、ごくありがちなストーリーだろう。性格も見た目も全く違う3人の男の繰り広げるドタバタ、親(または息子・娘)探しの異国旅行。そして最後にホロリ。だけど、それが十分楽しめる。だいたい、ほかのほとんどの映画で、激しい暴力や殺人、または過激な性描写が続出する中で、これはほとんどそういったシーンなし。
そして、小道具がいい。個人的にはアジアの極彩色のごちゃごちゃはあまり好きではないのだが、これは十分にその要素を組み込みながら、いい感じにまとめている。特に、最初の短編Hotel Chevalierの中で、登場人物の持つカバンに目が釘付けになった。皮の昔風のスーツケースなのだが、いろいろな動物のシルエットが、いろいろな色で(プリントでなく)型押しされていてとてもかわいい。クレジットで確認したら、なんとマーク・ジャコブスのデザインによるルイ・ヴィトン製だった。やっぱり・・・。おまけに、このバッグ、本編では3人の旅の重要な小道具として、あらゆるサイズ、形のものが一緒に登場する。
ヴィトンのバッグは全く好みではないが、うーん、あれは欲しい。特別に売り出さないだろうか・・・

4 set 2007
by fumieve | 2007-09-05 09:11 | 映画
<< 第64回 ヴェネツィア国際映画祭~4 第64回 ヴェネツィア国際映画祭~2 >>