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ヴェネツィア ときどき イタリア

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バヤゼット

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Bajazet
脚本 Agostino Piovene
作曲 Anonio Vivaldi
指揮 Fabio Biondi

Tamerlano: Daniela Barcellona
Bajazet: Cristian Senn
Asteria: Marina De Liso
Andronico: Lucia Cirillo
Irene: Vivica Genaux
Idaspe: Maria Grazia Schiavo

Teatro Malibran, Venezia

フェニーチェのオペラ・シーズン券の該当日は所要のため行けず、すっかりあきらめていた。ところが、行った友人たちから「なかなかよかった」と聞き、しまった・・・と思っていたところ、公演は今晩まであるらしい。ボックスオフィスに出向いてみると、1番安い10ユーロの券が残っていた。ラッキー。
そんなわけで、いつもにも増して全くの予備知識なし。わかっていたのは、ヴィヴァルディの作品で、だからバロック・オペラだということくらい。オーケストラが20人くらいの小編成なのはいいとして、びっくりしたのは、バイオリンを抱えた人が出てきたと思ったらいきなり指揮台に立って、指揮&演奏を始めたこと。このスタイルは前にもどこかで見たことがあるので、ということはバロックでは割と当たり前のことなのだろうか・・・。この場合、指揮と呼ぶのか、コンサート・マスターと呼ぶのか・・・。ソロから合奏までこなし、合間には弓で指揮をしている。

1403年、ビティニア(オスマントルコ)の首都ブルサ。トルコのスルタン、バヤゼット(バジャゼット)は、タメルラーノ率いるタタール人(韃靼人)の軍に囚われの身となっている。それにしても、ヴェネツィアはほんとうにこの類のネタが好きと見える。東方の異教徒たち。宗教と政治、愛と裏切り。
バヤゼットの娘アステリアは、タルメラーノと、ギリシャの王子アンドロニコの双方に愛されている。アンドロニコの気持ちを知らないタルメラーノは、自分の許婚、トレビゾンドの王女イレーネとその帝国を彼に譲ろうとする。国の威信(同盟)と愛の間で揺れるアンドロニコ。が、アステリアは、タルメラーノの求婚を受け入れる。
敵に屈したと娘を非難するバヤゼット。恋人を奪われ嘆くイレーネ。が、アステリアの目的は、アンドロニコの政治的裏切りに対する復讐にあった。伝達者に変装をしてもぐりこんできたイレーネに、タルメラーノは彼女の元へ帰る、安心せよ、と伝えるように言う。
タメルラーノとアステリアの結婚準備。が、アステリアがタルメラーノ暗殺をもくろんでいることがばれてしまう。父娘双方に死刑を言い渡すタメルラーノ。
アステリアを許すつもりである、と言うタルメラーノの前に、今度はアンドロニコが本心を打ち明けた。再び怒りに燃えるタルメラーノは、バヤゼットのうち首とアステリアの奴隷との結婚を言い渡す。アンドロンコは、自分の愛はいかなる王位にも勝ると宣言する。
戦士たちの宴席で、奴隷のように給仕を命じられるアステリア。タルメラーノの杯に毒を注ぐ。が、イレーネに告発される。アステリアは、その杯を、父親かアンドロニコに味見させよ、と命じられる。自ら杯をあおぐが、アンドロニコに止められる。
今度こそ、ためらわずにイレーネの手を取るタルメラーノ。そこへ、バヤゼット自殺の報が届く。
絶望し、独裁者を非難するアステリア。が、すべてを赦したというタルメラーノは、アンドロニコとアステリアの結婚を許可し、ビザンチンの玉座につくことを認める。
この寛容をもって、新しい王国の平和を称え、一同で高らかに歌う。
(フェニーチェ劇場プログラムを参照した)

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小劇場、マリブランでの公演である今回の注目はまた、演出・舞台背景・衣装を、ヴェネツィア建築大学・デザイン&アート科の学生たちが担当していること。
舞台はミニマム。背景は、白大理石を模した、ルネッサンス様式風の幾何学的でシンプルな建物の開口部を思わせる壁だけ。真ん中に、赤いビロードのソファ1つ。悪くない。衣装は黒ずくめで、特に男性は全員シンプルなスーツ(上着とパンツ)、というスタイル。ネクタイはなしで、中は白、黒、グレーのTシャツ(丸首)。これが大変効果的で、特に男性数名が舞台の上にいる際に、上下・左右、うまくバランスを組んで形を作り、あたかも抽象絵画を見ているかのよう。これが、コンクリートに鉄パイプ、といった「現代風」だとまたテーマとの不釣り合いにがっかりしてしまうのだが、適度なモダンさが、しっくりきている。演出も現代劇を思わせる。
ただし難点は、バヤゼット役のバリトン以外は、全員、ソプラノ、メゾソプラノの女性。女性役の2人は同じ黒ながらもしっかり衣装が区別されていたが、ほぼ同じ男性役の残りの数人は、最初誰が誰だか把握するのに多少手間取った。しかもこの作品、女性は2人ともたくましく、男性がわりとみな女々しかったりする。

長くなりすぎて肝心の音楽について書ききれなかったが、さすがヴィヴァルディ、「四季」では小鳥のさえずり、夏の嵐・・・と自然の現象を具体的に音にしているが、あの表現力で、人間の感情やその起伏を見事にあらわしていた。それでいて、チェンバロとマンドリンを中心に据えて、古楽器を交えた小編成のオーケストラは、繊細で軽やかな声を下手に邪魔せず、こちらも繊細で軽やか。
友人の言葉通り「たまにはバロック・オペラもいい」、そう思わせる作品だった。

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12 ottobre 2007
by fumieve | 2007-10-13 08:59 | 聞く・聴く
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