Pitti Uomo
Fortezza da Basso, Firenze
18-21 giugno 2008
イタリア最大の紳士服見本市。年に2回、1月と6月に開催され、今回は2009年春・夏物の展示となる。
会場はフィレンツェ中央駅のすぐ裏にあるバッソ要塞(Fortezza da Basso)。私は今回初めて行ってみたが、知っている限り、イタリアで最も中央駅に近い見本市会場なのではないだろうか?要塞の壁の内外、テーマごとに39のパビリオンが点在する。39といっても、いわゆる見本市らしく、多数の企業のブースが並ぶ大きな建物のほかに、単独のメーカーが1パビリオンを占領しているような小さな建物も。
家具の見本市、ミラノ・サローネもそうなのだが、製品そのものよりもまず、展示の派手さ、おしゃれさに目を見張る。単独館はもちろん、各ブースも、たった4日間のために、よくぞここまで・・・というほど、力と気合がこもり、いかにもお金がかかっている。働かない・機能しないイタリアと究極に反対の世界が、ここに存在する。
例えば、2年前の冬季オリンピック前に完成するはずだったトリノの地下鉄はいまだ完全開通していないというのに、どうしてこの突貫工事は可能なのか?・・・もっとも、そこはイタリアのことなので、見本市も初日の午前中に来ると、まだまだ準備中だったりすることはあるが。
カジュアル、アクセサリー(皮革製品など含む)、スポーツ、下着に履物・・・イタリア高級紳士服というと、色合いの美しい上質な生地のスーツとピカピカに磨き上げられた皮靴、というイメージがあるが(そしてイタリアにいると実際はなかなかそういう人にお目にかからないが)、ざっと回ったところ、春・夏もののためもあるだろうか、カジュアル系衣料のほうが圧倒的に多いように見える。それがトレンドなのか、あるいは、全部は回りきれていないので、何か重要なところを見逃してしまったのかもしれないが。
複数のブースの入る展示会場は、その館ごとにテーマによって全体の内装もがらりと変えてある。見本市というよりは、どこかおしゃれなショッピング・ビルの中に迷い込んだよう。
一方、単独館は、ショップのようなところもあるが、リゾート地やサファリ、あるいは60年代・・・と、空間全体がそのまま、3次元のイメージ広告のようになっているところも。(残念ながら、そういうところはたいてい撮影禁止だった。)
それにしても、これだけたくさんのメーカーのジーンズやTシャツの中から、これ、という製品を選ぶバイヤーの方というのは、大変なことだと思う。
全体の傾向は?・・・カジュアル志向というのと相関関係にあるのかもしれないが、季節らしい、明るい、鮮やかな色・・・か。それも暖色系。ちなみに新聞の受け売りによると、(来年でなく)今年の夏の男性の必須アイテムは、カラフルなポロシャツ。極端に短すぎたり、だぼだぼすぎたりしない自然な形、ただし明るい色で、できれば襟の色違いなど、ツートンがいいらしい。
カジュアルでラフなスタイルが主流の中で、健在だったのは、イタリアらしいきれいな色のシャツ。たとえウインドウ・ショッピングにしても、イタリアにこれがなくては楽しみが半減する。
イタリアでは、外回りの営業や、ある程度以上の企業の社長といったごく一部の人をのぞいて、銀行でも役所でもどこでも、ふつう、おもにオフィス内で仕事をしている人は、ほとんどスーツを着ていない。ワイシャツやポロシャツにパンツ、それもジーンズだったりするし、当然、ネクタイもしていない。
もともと、ピンクやオレンジを好んで身につける男性が多いし、だから職場でちょっとおしゃれをしようと思うと、派手シャツ、ということになるのかもしれない。
完全真夏日となったフィレンツェ。濃い青空の下に似合う1着を、バイヤーのみなさんは見つけることができただろうか?そして、メーカーのみなさんは、いい手ごたえを得て、すぐ目の前に迫るこの夏のバカンスを楽しく過ごすことができるだろうか?
20 giugno 2008