ヴェネツィアの夏、20:30。ようやく長く暑い1日が暮れる。
最近、ヴェネツィアで1番「ホット」とされるリアルト橋たもとを運河の向こうに眺める穴場的なスポットが、カンピエッロ・デル・レメール(Campiello del remer, 漕ぎ手の小広場)。
美しい階段と井戸のあるいかにもヴェネツィアな広場の1角にあるタヴェルナ(Taverna、食堂)で友人たちのライブがあった。
実は、先週も同じ場所であったのだが・・・「追っかけ」を自認する私としては、やはり逃すわけにはいかない。彼らはそうしょっちゅう、あちこちで演奏しているわけではないので、なおさらのこと。
彼らの音楽については、
今までにも何度か紹介しているのであまりしつこく繰り返さないが、ひょっとしてここで初めて読んでいただく方のために言うと、ルーマニア、ハンガリーの民俗音楽、ジプシー音楽をモチーフにピアノとヴァイオリンにアレンジしている。
かの地では、結婚式やお祭りだけでなく、ちょっとした祝祭に音楽が欠かせず、そんなときのための出前音楽隊がいるのだという。だから、人間の喜怒哀楽を時には素直に、ときには少し皮肉に音で奏でる。哀歌にダンス、牧歌。
私にとって縁もゆかりもないはずの音楽なのに、いつも、なぜかなつかしいような気がする。
それにしても、ピアノがこんなに楽しそうな楽器だったのか、ヴァイオリンという楽器が優雅で高尚なだけでない「言葉」を持っていたのか、と改めて思う。
音楽サンプルは、彼らのMySpace(
http://www.myspace.com/musicfromtransilvania )でどうぞ。
ただ、どんどん自由にアレンジが変わっていく彼らの音楽は、同じ曲でも聞くたびに新しくなっていくのが、「追っかけ」の楽しみでもある。お気に入りの曲が、今日はどんな風に衣装とお化粧を変えてくるのか・・・。もちろん、新しい曲も毎回追加されて、レパートリーも増えていく。
ヴァイオリンの1弓から始まり、ピアノが後から支えて、追い付き、あおる。あるいは、ピアノの和音とリズムに乗っかったヴァイオリンがテーマを奪い、走り去っていく。取っ組み合いのようにがっぷり組んだかと思うと、ふと、片方が手綱を緩める。技を見せあい、引き立てあう。ソロではありえない、またオーケストラなどの大勢の合奏とも違う、アンサンブルの面白さ。
はじめはぼんやりと聴いていた頭が、いつのまにかその緊張感に引き寄せられていく・・・。
手長エビ(scampi)とムール貝たっぷりのスパゲッティは、少しピリっと辛味が効いていておいしかった。(写真は1人前ではありません、念のため)実は初めて行ったときには、若干高めかなと思ったのだが、何度か行くうちにだんだん安くなっていくのは、さすがイタリア。
ここは入口~広場(外)で立ち飲みもできるので、ビールやスプリッツ、ワインをグラスで飲みつつ、音楽を遠巻きに楽しむことも可能。私は他の日に来たことがないが、毎日何かしら演奏をしているらしい。
音楽も、食べるのも大好きな1ファンの唯一の悩みは、できればどっちかに集中したい、ということ。(それにブロガーとしては写真も撮らねばならないし。)次はどこか、小さなコンサート・ホールとか、回廊とか、そんなとこでぜひ聴きたい・・・。
Taverna ampiello del Remer
Cannaregio 5791
tel. 041 5228789
10 luglio 2008