人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

後味


私は一度もやったことがないのだが、レデントーレの土曜日、深夜に花火が終わった後はそのまま舟でリド島の砂浜に繰り出し、そのまま騒ぎながら日の出を待つ、というのが地元の「伝統」らしい。真夏の、お祭りの晩のことだから、そりゃあ昔からみんないろいろと羽目を外すことはあっただろうと思う。
今年のレデントーレの翌日、たくさんの舟と多くの観客たちの前に華やかに上がる花火の映像とともに、非常に残念なニュースが全国に流れることになった。
友達同士で花火を見にきた16歳の女の子が1人、その晩、急死したため。花火のあと彼女は、リド島に向かい、多くの人でにぎわうその砂浜で「エクスタシー」というドラッグを飲み、すぐに体調の悪化を感じて救急車で運ばれたものの、結局そのまま亡くなったという。
イタリアでは、ドラッグの急速な普及と入手の簡便さ、そしてアルコールやタバコと並んで、興味本位の飲用から常用にいたるまで、その低年齢化がずいぶん前から問題になっている。マリファナにせよ、化学薬品系にせよ、調査によっては、中高生の1/3から2/3は「試したことがある」という統計が出るらしい。統計でそうなのだから、大げさでなく、実質はほとんどみんな「(一度は)やってる」と言っても過言ではないかもしれない。
なんにせよ服用はイタリアでも禁止だが、最近、しばしば警告が発せられていたのは、アルコールとドラッグの併用。特に、最近の若者(というとこちらがオバサンぽいが・・・笑)の間では、ディスコやパーティーでカクテルを飲むのがはやりになっている。一見、口当たりのいいカクテルも、ものによってはアルコール度数がかなり高くなるものもあるから要注意!と、まあ世の中の良識者たち再三勧告しているのだが、「楽しみたい」若者たちは、さらにそこに、上記の「エクスタシー」などを1粒、おとして飲んだりするらしい。
今回の事件は、そんなふうに、誰でもやってること、どこでも起こりうることだっただけに大きく取り上げられたのだろう。この長い夏の間の、少しは戒めになるのだろうか・・・。

そう思っていたら、今朝の新聞を見て驚いた。
亡くなった女の子の「父親が警察を告訴」との見出し。なぜその場で警察が止めに入らなかったのか、と。あとは救急態勢の遅れなどの責任追及を求めているらしい。
・・・いや・・・数千人いたという砂浜、もちろん、そういう晩だから警備の人間だっていることはいただろうと思う。だけど、いくら16歳の女の子だって、あえて警察の目の届くところでそれをやってみるはずがない。そもそも「アブナイ」パーティーだとわかっていて、出かけているのに。
それを売買した人間、そそのかした人たちがいたら、それは裁かれるべきだろうと思うが、強制されるのでもなく、だまされるのでもなく本人が自ら飲んだ以上、亡くなった本人の責任であることは誰がどう見ても間違いはない。
これがもし日本だったらどうだろう?両親は、そんな娘に育ててしまった親のしつけが悪かったこと、そうして「世間様にご迷惑をおかけした」ことに平謝りになり、さらにそこらじゅうからバッシングを受けるのではないか。
イタリアと日本のメンタリティの違いを、不謹慎ながらいろいろ考えてしまった。私には娘がいないからわからないが、でも正直のところ、どっちも極端すぎてついていけない気がする。どんな原因にせよ、不慮の事故による娘の死を嘆き悲しむ両親の気持ちは誰でも共通なはずで、それだけで十分、と思う。
「みんなやってること」なのに、たまたま命を落とした彼女は、まったく運が悪く気の毒だったと思う。自らのブログで、「楽しんで、最高の人生を送りたい」と書いていたらしい。本人こそが、こんな形でまさか命を落とすことになろうとは、想像もしていなかっただろう。

そうそう、全然別の問題だが、イタリアで「飲み物」といえば、少し前にこんな事件
http://plaza.rakuten.co.jp/romani/diary/200806030000/もあった。
旅行される方々も、口にするものにはくれぐれもご注意ください。

後味_a0091348_4453048.jpg


22 luglio 2008
by fumieve | 2008-07-23 04:46 | 日常生活
<< 相棒とお散歩中のみなさまへ Redentore 2008~... >>