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ヴェネツィア ときどき イタリア

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コルネール・スピネッリ館~パッラーディオに捧ぐ

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Palazzo Corner Spinelli, Venezia
Omaggio al Palladio
8 - 15 settembre

9月15日まで

16世紀を通してヴィチェンツァ、ヴェネツィア、その近郊で多くの美しい館や教会を残した建築家、アンドレア・パッラーディオは1508年生まれ。生誕500周年記念にあたる今年は、生地ヴィチェンツァを中心に多くの行事が予定されている。

カナル・グランデに面して建つ、このコルネール館は、パッラーディオ作ではなく、同時代の建築家、マウロ・コドゥッシによって設計された。1490年着工、1521年の完成が確かなのは、オープニング記念に華やかなパーティーが行われたことが記録に残っているためらしい。通常、コルネール・スピネッリ館(Palazzo Corner Spinelli)と呼ばれるのは、18世紀初めには新興貴族スピネッリ家の所有になったため。

現在は、ヴェネツィアの高級布地製造業、ルベッリ(Rubelli)社の所有する(注:全館ではないかもしれない)このルネッサンス様式の館で、パッラーディオに捧ぐ小さな展示が行われている。
ルベッリ社はじつは、布、織物や装束に関する歴史的な資料のコレクションを持つ。布や服飾品そのものもあれば、そのデッサン画なども。
その膨大なコレクションの中から、今回特別に、パッラーディオの時代、すなわち16世紀の、ビロードや聖職服、高級織物が裕福な信者から教会に寄進された時代の、当時のお宝を数点、期間を1週間に限り展示している。

水上バス、Sant’Angelo(サンタンジェロ)で降りて、そのすぐ左にある建物。ドアが閉まっていて普通の呼び鈴が並んでいる。RUBELLIのボダンを探して押す。
もともとはRUBELLIの本社だったが、現在は本社機能はすべて陸地に移り、ここはショールームとしてのみ使われている。門番に行き先を告げて、1階(日本で言う2階)へ。
入ったところは、縦長に広いホール。運河に面した高い窓から明るい光が差し込む。両側に小さな部屋がそれぞれある仕組みは、典型的なヴェネツィア建築。ホールに、ずらっとサンプルが並んでいるのだが、こんなに広くて明るいところでサンプルを見たら、思いっきり豪華な生地をうっかり買ってしまいそう・・・。
隣の元・社長室に、くだんの16世紀の布たちは展示されていた。
500年もの年月を経て、ここに目の前に存在するというだけでも奇跡なのだが、16世紀ヴェネツィアといえば何といっても、真紅のビロード。その赤の色の美しさ、今ではもう再現できないとされるテクニックにより編み出された模様。
これを1つ見るだけでも価値があるが、服飾にはあまり興味が・・・という方でも、ヴェネツィア建築の中をのぞいてみたいという方ならば、呼び鈴を鳴らしてみる価値が十分あるだろう。

リアルト橋と、カ・フォオスカリ(Ca’ Foscari)のちょうど中間に位置するこの建物、テラスからの眺めも最高だった。ここは、先日の歴史的レガッタを観戦するには絶好の場所と思われる。

www.rubelli.com

9 settembre 2008
by fumieve | 2008-09-10 08:29 | 見る・観る
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