コミッショナー 南嶌宏さん
作家 やなぎみわさん
11月22日まで
53° Esposizione Internazionale d’Arte
La biennale di Venezia
“fare mondi / making worlds ”
Padiglione giapponese ai Giardini
“Windswept Women: La compagnia delle Giovani Vecchie”
7 giu - 22 nov 09
www.labiennale.org
企画展(アルセナーレ&展示館)、ジャルディーニの国別パビリオンとも、キレイさわやかな作品・展示が主流な中で、日本館は圧倒的な存在感を見せた1つだったと思う。
緑濃い高台の上に建つ、それ自体は決して大きくない日本館の建物を覆った、黒いテント。
一見、牧歌的な雰囲気、ただしテントの黒に一抹の不安を覚えながら中に入ると、そこには、巨大な黒い額縁に入った、巨女たちが立ち聳えている。
正面に立ちはだかるのは、乳房が過剰なほどパッツンパッツンに張った、しかしゾウのようにしわしわの足を持つ・・・少女?・・・一方、横を向くと、その、かつて立派だったはずの乳房にヒビが入り、残酷なまでに垂れ下った、そこだけ見ると老女だが、それには不釣り合いなほど張りのいい太腿の女。
みなそれぞれ、立派な両脚で大地を踏みしめ、大きく天を仰ぎ、髪を振り乱している。
叫び声や、キーンという不協和音が今にも聞こえそうな。叫び?・・・不気味で、恐ろしげな目の前の写真を、じっと見つける。いやいやこれはきっと、彼女らの踊りなのだ。それも歓喜の。
老若の、女の体を通して表現された「死」。
だが、むしろ、そこから浮かび上がるのは、強力に「生」。まるでパラドックスのように。
われわれ、「生あるもの」はみな、いつか「死」を迎える運命にある。
永遠の「死」と、生きているからこその、「時」による変化。最後の瞬間まで、強力なエネルギーを発し続ける「生」。その逞しさ。
年齢や国籍を問わず圧倒的な人気を得た、昨年の建築展とは明らかに違い、これはかなり好き嫌いがあるだろう。それでも、数限りない展示の中で、極めて強い印象を残したことは確かだ。
だが、正直のところこうして書こうとして、なんだか、自分の目でよく見てこなかったような気がした。できればもう一度きちんと見に行こうと思う。
ちなみに、下の写真2枚は、オープニング・セレモニーのあと、リクエストに応え、作品の前でポーズをとる作家のやなぎみわさん。黒いドレスを纏った、すらりと長身に涼しげな目元の美しいやなぎさんは、たくさんのカメラに囲まれていた。
13 giugno 2009