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ヴェネツィア ときどき イタリア

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モナ・ハトゥム Interior Landscape展

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ヴェネツィア、クエリーニ美術館
9月20日まで
(注:同館1階では、ビエンナーレ国別展示、クロアチア館・開催中)

Mona hatoum. Interior Landscape
Venezia, Museo Querini Stampalia
4 giu - 20 settembre 2009
www.querinistampalia.it/

いつも書いているように、イタリアでは、美術館、博物館といっても、元・ダレソレのお屋敷とか、元・修道院とか、古い建物の再利用である場合がほとんど。その建物自体を味わう楽しみはあるけれども、そうはいっても、美術館として建てられたわけではないから、実務上の不便はもちろん、展示そのものにも制限があったり、いろいろと無理がある場合が多い。
フレスコ画だの漆喰だの、はてはシャンデリアだの、と、ただでさえ主張の強いインテリアの中で、残念ながら作品や展示が完全に負けていることもあるが、一方で、そのバックグラウンドを生かした、その場ならではの展示を見ると、やはりとても嬉しい。
スペースのないヴェネツィアでは、その弱点を逆手にとってというのか、ときどき、常設展示の中に、特別展を組み込んでしまう、という、面白い試みがなされることがある。コッレール美術館などは、その常習犯の代表。
常設を見たことがある人には、間違い探しのようなその「常」との違いが楽しめるし、初めて訪れる人には、特別展だけではなくて、常設展示にも目をむけてもらう、なかなか賢い方法だと思う。

前置きが長くなったが、このMona hatoumの作品展は、2つの手法をミックスした、面白い展覧会だった。まず、2階の常設展示の中に、さりげなく置かれた作品たち。もちろん、すぐに、それとわかるものもあるが、常設のガラス・ケースの中に並べられている作品、さらに、文字通りほかのものに混じって置かれているものもあり、要注意。
だが、心配は御無用。こういう展示は、どれがどの作品だか、わからなくなる危険性が高いのだが、ちゃんと特別展の作品を列記した解説シートがあり、それを持って回れるようになっている。(イタリア語、英語あり。・・・たぶんフランス語も)
人の髪の毛で作ったネックレス(Hair Necklace)や、アンティークの棚にさりげなくおさめられたガラス製の色とりどりのフルーツの置物は実は地雷形・・・と、hatoumらしいだまし絵的な作品は、まさに間違い探し展示にぴったり。それどころか、もともと同美術館のコレクションの一部である展示品や家具を使った作品もある。

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一方、上の階の特別展示場には、これもhatoumらしいのだが、こちらは「空間」を生かした大きめの作品が並んでいた。ベイルート、バグダッド、そしてカブールの地図に円形で凹凸をつけた3-D Cities(2008-09)。戦闘の地とされるこれらの町でも、日常生活が営まれていることを示唆している。ほかにも、地球儀や地図を独自の目線で再解釈した作品がいくつか。
そして、一見、数珠のような、だが、その大きさはどうしても大砲の弾を思わせるWorry Beads。
どれも女性らしい、洗練された表現の中に、実はアイロニーがたっぷり含まれていて、見ているほうはドキリとさせられる。

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Mona Hatoum、ベイルート(レバノン)生まれ、パレスチナ人の両親を持つ。1970年代中盤、市民戦争のためにロンドンヘの移住を余議なくされる。80年代より、パフォーマンス・アート、ビデオ・アートなどで知られ始めるが、90年代に入ったころより、インスタレーションを手掛け始める。

これまで見てきたビエンナーレの展示でも、アフガニスタンやイラン、イラクといったって、実際は、国を出て、ロンドンやパリ、NYで活動している作家がほとんど。
それでも、いや、だからこそ、やはりその作品の中には、たくさんのメッセージが詰まっている。
彼らや、彼らの次の世代が、自分の国の中から新しい作品を生み出すようになるのは、いったいいつになることだろう?

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(写真は同美術館公式HPより借用)

25 luglio 2009
by fumieve | 2009-07-26 09:13 | 見る・観る
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