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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第66回 ヴェネツィア映画祭・3

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Francesca *オリゾンティ部門
Bobby Paunescu監督、96’、ルーマニア
出演 Monica Borladeanu, Boguta, Teodor Corbanほか


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フランチェスカは、賢くしっかりもの。昔からの憧れだったイタリアへ行くために、仕事をしてお金をためている。
一方その彼氏は、仕事にあぶれ、一攫千金を狙って怪しい誘いに乗っかり、莫大な借金をかかえて犯罪組織に追われる身となってしまう。

イタリアにいる移民のうち、最大数をほこるルーマニア人。工場内の単純作業や過酷な肉体労働はもちろんだが、ルーマニア人の女性は特に、お手伝いさんや、老人介護、ベビーシッターなど、「家庭内業務」といわれる分野に多く、イタリアの経済活動を陰で支えているといわれる。

その、ルーマニア人から見た、イタリア人。
排他的で人種差別が横行、とくにルーマニア人とみれば、犯罪者、売春婦と思え、ルーマニア人というだけで逮捕されたり、暴力に遭ったりする・・・。
フランチェスカのイタリア行きに反対する、彼女の父の言葉。半分はおおげさで、だが、半分は事実。
そして、イタリア行き斡旋者のいかにも怪しいこと。イタリアでもたびたび報道される、「仕事を紹介すると言われ高額手数料を払い、行ってみたらストリート・ガールを強要された」という話そのままに見えてしまう。

途中、現ヴェローナ市長(北部同盟)や、ムッソリーニの悪口を言う場面があり、物議をかもしている。


Lei Wangzi(Prince of Tears、涙王子) *コンペティション部門
Yanfan監督、120’、台湾+香港、中国
出演 Fan Chih-Wei, Terri Kwan, Joseph Chang, Kenneth Tsang, Zhu Xuanほか


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1950年代の台湾。
「アンチ共産主義」政策強化で、「赤狩り」ならぬ「白の恐怖」と呼ばれた時代。
ごくふつうに幸せだったはずの家族、夫(父)があらぬスパイの嫌疑をかけられたために、すべてが崩壊していく。
若く美しい夫婦と、女の子2人、ノスタルジックな画面作りでメロドラマ風なタッチにくるまれているが、根底にあるのは、共産党だろうが、アンチ共産党だろうが、司法が独立しない独裁政権の恐ろしさ。

余談だが、「今日は餃子を100個作ったのよ」と言う場面が繰り返し登場するのだが、「100個」というのは、ひょっとして「たくさん」のことではないかとちょっと思った。

Lourdes *コンペティション部門
Jessica Hausner 監督、99’、オーストリア
出演 Sylvie Testud, Léa Seydoux, Bruno Todeschini


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その水に触れると、難病が突然回復する、と信じられているルルドの泉。
世界中から多くの巡礼者の集まるルルドは実際、立派な観光センターである。カトリック団体の経営する、立派で至れりつくせりな宿泊施設はさすがだが、そこからツアーを組んででかける泉、大聖堂を前にした記念撮影、町の中にあるいかにもな、おみやげショップ・・・と、パリやローマ、そしてヴェネツィアなどの観光都市と全く変わらない。

奇跡は起こるのか。そして、起こるなら、やはりそれは自分の身の上であってほしい。

淡々と語られていくストーリーの中で、フランスの「色」の美しさにほれぼれする。
巡礼センターのヘルパーさんたちの服装。病院の看護士スタイルだが、白衣の上にまとっているのは、明るい赤色のカーディガン。外出時には濃紺のマントをはおる。観光地のガイドさながら、片手に掲げるのは赤い折りたたみ傘。
そして、この物語の主人公、クリスティーヌのかぶる、キャップも赤。これがもうなんともいえない色で、日本でもイタリアでもあり得ないような色。決して幼稚な色ではなく、といって大人の深紅というのとも違う、高原地帯特有のうすい水色の空の下にしっくりなじんでいる。

奇跡が起こるのか、それは神のみぞ知る。そして神父いわく「神は自由」だ、と。

4 settembre 2009
by fumieve | 2009-09-05 08:44 | 映画
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