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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第66回 ヴェネツィア映画祭・7

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Lebanon *コンペティション部門
Samuel Maoz監督、イスラエル、92’
出演 Yoav Donat, Itay Tiran, Oshri Cohen ほか


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ああ、またもや戦争。
人がむやみに人に銃を向け、爆撃し、傷つけ、殺すのを見るのはもうニュースでも映画でもうんざりだ。
いや、現実に今起きていることを思い出し、考えるために、いまだにこれだけ直接的な方法を取るしかないのだろうか?
舞台は1台の戦車の中。市街地での「一掃作戦」を「完結」する任務を負う兵士たち。だが彼らもふつうの人間だ。人を撃ったことのないShumlikに任務遂行を命令する上官。家に帰りたい、母に会いたいと泣き出す運転手Yigal・・・攻撃にさらされて死とがれきの山と化した「外」に対して、厚い鉄で装甲されて、守られているはずの戦車の中が、恐怖とパニックに包まれる。
ただただ悲惨な映画。

*****

ヴェネツィア映画祭では毎年、メインのコンペ部門、オリゾンティ部門のほかにもいくつかその年によりいろいろな部門が設けられるのだが、短編・超短編部門も毎年定番の1つ。今年はここに、日本から2作品が参加した。

Kingyo *短編・超短編部門
エドモンド・楊 監督、日本、マレーシア、25’
出演 Rukino Fujisaki, Takao Kawaguchi, Amane Kudo
www.kingyo-film.com


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早稲田大学大学院、安藤紘平研究室の学生たちによる作品。監督の楊(Yeo)氏はシンガポール生まれのマレーシア人で、現在、同大学修士課程留学中。
画面を左右2つに分け、2人の動きを同時進行で見せたり、あるいは同じ人物の角度を変えて見せたりというのは、そういえば映画ではあまり多くはないが、現代アートのビエンナーレではよくある手法。だからそれ自体は珍しくないが、なんとなく、これを映画でやってしまうと、アートの立場なし、という感じがする。
秋葉原のネオンの中をさまよう、白いユニフォームを身に付けたメイド。それはちょうど、水の中をひらひらと静かに泳ぐ金魚のようでもある。現代日本の一場面を切り取りつつ、全体のゆったりとしたテンポの進行、会話の、言葉の少なさ、おっかなびっくりまでのぎこちない態度・・・など、日本映画の王道を25分の短編に凝縮したような映画。

Jitensha (Bycicle) *短編・超短編部門
Dean Yamada 監督
出演 Yugo Saso, Masayuki Yui, Yasuko Fleming, Katsunori Gotou


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やはり、学生さんたちが日本で撮影した映画だが、こちらは拠点が米国。
Kingyoが、身近にありそうでたぶん実際にはありえないであろう話なら、こちらは最初っから、ありえな~~~い、ナンセンスなお話。飲み会で同僚に自分が「殴って」ではなく「殴られて」、会社をやめてしまったダメ男は、哀れにも自転車の部品も盗まれてしまう。
まさに、泣きっ面に蜂。
それも、彼の不幸をあざ笑うかのように、その自転車がとんでもないことになっていく。
前半はダメ男のだめっぷりに、見ていていちいちタメイキ、後半はゲーム仕立てで一気に軽快に。
ああ、そして最後は一緒に笑うことができるのだろうか・・・?

*****

コンペ以外にも見たい映画がいくつもあるし、ほんとは1日に4本でも5本でも、できるだけたくさん見たいところなのだが、頭と体が全然追いつかなくなってきた。
ここ数日、睡眠時間がかなり少なかったのと(だから上映中についウトウトしてしまう)、洗濯やほかの仕事の調整もたまってきたので、今朝はちょっとさぼってしまった。
明日からまた頑張らねば!

(各映画の写真は、公式HP www.labiennale.org より拝借。)

8 settembre 2009
by fumieve | 2009-09-09 08:38 | 映画
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