人気ブログランキング |
ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

第66回 ヴェネツィア映画祭・8

a0091348_8545320.jpg


Lo spazio bianco *コンペティション部門
Francesca Comencini監督、伊、96’
出演 Margherita Buy, Guido Caprino, Salvatore Cantalupo ほか


a0091348_8554160.jpg


今回、女性をテーマにした映画が多いような気がする。

夜間学校で国語(イタリア語)の教師を務めるマリアは、40代独身。恋に落ちた男性の子どもを身ごもるが、そこで男は逃げていく。シングル・マザーとなる決意のマリアだが、わずか6カ月で早産してしまう。
どうにか命だけはある状態で生まれた小さな小さな命、保育器に入って、呼吸すらも機械に頼っている命は生きるか死ぬか、当面様子を見なければわからない、という。
出産はしてしまったものの、子どものほんとうの「誕生」はお預けを食らったような、中途半端な時間。
病院の白い壁に囲まれ、ひとりぼっちで、恐怖と不安に何度も押しつぶされそうになるマリア。そんな彼女を、少しずつ、少しずつ救ったのは、初めは若すぎて、それだけで気がめいる原因にもなっていた保育器のママ仲間や、病院のスタッフ。友人でもある同僚、そして復職を勧め、待っている教え子たち。
タイトルのLo spazio bianco(ロ・スパツィオ・ビアンコ)は、直訳で白い空間。病院の空間、子どもの進退を待つ50日間の時間を示唆している。
主演のMargherita Buyが、とてもいい演技で、現代の問題における女性の心理を、軽すぎず、おおげさすぎず、等身大で表現している。

Il Grande sogno *コンペティション部門
Michele Placido監督、伊、101’
出演 Riccardo Scamarcio, Jasmine Trinca, Luca Argentero, Laura Morante, Silvio Orlandoほか


a0091348_8563465.jpg


1968年学生運動のイタリア、ローマ編。
映画としては、まあまあ、(ふつうに)よくできている方かな~と思って、まずまず楽しんで見た。
ところが、記者会見に出て、すっかり興ざめしてしまった。
イタリアはもともと、特に映画などの文化人はほとんど左派だし、このプラチド監督などはその政治的主張も強いほうなのは知っていた。だが、同テーマの映画を、右派の現首相、ベルルスコーニ氏の傘下にあるメドゥーサ社で製作したことについて質問しようとした外国人記者に対し、プラチド監督は顔を真っ赤にして、なんと、「ばかやろう!そんならイタリアでは一体誰が映画製作の費用を出してくれると言うんだ!」と見境なく怒鳴り始めたのだ。

反論するのはいいし、その主張にはおそらく一理あるだろうが、「ばかやろう!」にはあきれるばかり。製作費35億円でも話題を呼んだ、今年の開幕作品、トルナトーレ監督のBaarìaは、共産党ばんざいな映画で、やはりメドゥーサで製作しており同じ問題を抱えているが、トルナトーレ監督はもう少し大人な対応をしていた。もっとも、ベルルスコーニ氏はBaarìaを「最高傑作」と絶賛したらしく、こうなると、単なる節操なしと見るべきなのか(そうだと思うが)、あるいは政治と文化は別、と良識的判断というべきなのか・・・。

政治の枠組みを超えて、(売れる)映画ならその内容を検閲される製作することができるなら、それはむしろ喜ばしいことであって、怒り狂う問題ではないと思うのだが。

主演のScamarcioももともとあまり好きではないし、この映画はもう私の中ではすっかり封印した。


Zanan Bedoone mardan (Woman Without Men) *コンペティション部門
Shirin Neshat監督、ドイツ、95’
出演 Pegah Ferydoni, Shabnam Tolouei, Orsi Tóth, Arita Shahrzad


a0091348_858862.jpg


外を自由に出歩くことどころか、家でラジオのニュースを聞くことすら阻まれる女性たち。盲目的に家族のためにつくし、また、年頃になれば、自分の意思とは全く関係なく、家長の決めるままに従って嫁ぐ。まるで道具のようにあちらからこちらへと、簡単に。
なんとなく現代の話かと思ってぼんやり見ていたら(確かにラジオというのがちょっと古いなと気になってはいたのだが)、1953年の話だった。それだけ歴史に疎いのはかなり恥ずかしいが、それでも「ペルセポリス」などから得ただけの乏しい知識でも、女性の立場は、あまり変わっていないのではないか、と思う。
Neshat監督はじめ、出演している女優さんたちもみな、外国暮らしの長い人々ばかり。演技を通して初めて知ったことも多い、と言う。

我々にとってうれしいサプライズだったのは、坂本龍一氏の音楽。そう言われてみれば、いかにもな音楽で、悲しいテーマながら、しばしばはっとさせられる美しい映像、あるいは中で必死に生きる彼女たちの心の機微を映し、盛り上げていた。

Survaival of the Dead  *コンペティション部門
Gerrge A. Romero監督、米、90’
出演 Alan Van Sprang, Kenneth Walsh, Devon Bostick, Kathleen Munroe ほか


a0091348_91203.jpg


サバイバル、対ゾンビ編。
ゾンビの父の新作は、やっぱりゾンビだった・・・。
申し訳ないが、もうこればっかりは、作る方も見る方も、何が楽しいのか私にはさっぱりわからない。


(各映画の写真は、公式HP www.labiennale.org より拝借。)

9 settembre 2009
by fumieve | 2009-09-10 08:53 | 映画
<< 第66回 ヴェネツィア映画祭・9 第66回 ヴェネツィア映画祭・7 >>