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ネパール、フィリムの学校建築

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ネパールの首都、カトマンズから車で6時間、そこから歩いて3日。・・・そう聞くだけで気が遠くなる。
標高1600mのフィリムという村に、日本のボランティア・グループが、小・中学校を建てた。

グループの名は、AAF(AsianArchitecture Friendship)。竹中工務店設計部の有志が、当初はアジア各地の建築事情の調査のため現地に赴き、そして調査を進めるうちに、そこにどうしても不足しているもの、それは子どもたちのための学校であることに気付いた。そして、よし、それなら自分たちで建ててやろうではないか、と言ってほんとに建ててしまったのが、Buddha Primary and Secondary School。
建築の専門家ではあるけれども、途上国支援のプロではなかった彼らが、用地の選定や設計はもちろん、役所と交渉し、必要な資金集めのための募金活動を行い、自分たちは手弁当で通い、そして肝心の建設作業には現地の人々を巻き込み、立派な学校を作った。

(写真や詳細、AAFの活動については、サイトhttp://af.cool.ne.jp を参照)

そのフィリム学校建築群が、ヴェローナで行われていた石材見本市マルモマック(marmomacc、International Exhibition of Stone Design and Technology)で、国際石材建築賞を受賞した。



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「太陽の光や風などを取り入れ、自然のエネルギーを利用した建物にすること、現地でとれる材料を使うこと、学校建築として住宅とは違うシンボル的なものであること、また、子どもたちにとって魅力のあるスペースであること、をまず心がけた。
唯一、屋根材だけは、現地の石を板状に割って使っても限界があり、どうしても雨漏りするため、これだけは5mmの薄石を取り寄せた。

苦労したのは、彼らは自給自足生活をしており、金儲けを考えないため、必要以上に働かず、時間がかかること。逆に、石の加工など、指導したことはきちんと正確にこなすため、想像していた以上にいいものができた。

・・・この活動を通して、建築という行為をリアリティーをもって感じ、ものづくりの原点を知った。今後もこの活動を続けていきたい。」
昨日(10月3日)、受賞式の場でAAF代表の赤尾健藏さんが語ると、会場で、熱心に耳を傾けていた聴衆から、ひときわ大きな拍手が沸いた。

国際石材建築賞(Premio internazionale architettura di pietra)は、同見本市の文化事業部門が1987年に創設し、隔年に行われているもので、今年で11回にあたる。
過去数年の世界の石材建築を対象に、イタリア、欧州の建築専門家による審査を行うが、特徴は複数の異なる作品が選ばれ、順位をつけずに同等の賞を受けること。

今回も、AAFのフィリム学校群(Complesso scolastico buddha, Philim, Nepal)をはじめ、スペイン、トリコ広場の修復とイルミネーション(Restauro e illuminazione di Plaza del Torico, Teruel, Spagna)のFermín Vázquez – b720, 元アルファロメオ工場食堂の新オフィス(Uffici nell’ex mensa Alfa Romeo al Portello, Milano, Italia)のCino Zucchi Architetti CZA、ボッコーニ大学拡張工事(Ampliameno Università Bocconi, Milano, Italia)のGrafton Architects、そしてオスロのオペラハウス(Opera House, Oslo, Norvegia)のSnøhettaが同時に同賞を受賞した。

大型建築あり、修復工事あり、規模も種類もさまざまな作品の中で、共通点は素材としての「石」。高価な大理石から、フィリムで使われた近くの河原の石まで、石の種類もさまざまだが、その石をいかに大切に、また効果的に使っているか、が、評価の対象になる。
さらに、審査委員長のパヴァン氏(Vincenzo Pavan, フェッラーラ大学教授)によると、
「建築は単なるハコではなく、それを使うヒトのためでなければならない。美的にすばらしいだけではダメで、使う人々の要求を満たすものでなければならない。」

受賞作品に関しては、マルモマック会場で展示が行われたほか、カタログができている。
Litico Etico Estetico. Premio internazionale architettura di pietra 2009
(Lithic Ethic Aesthetic. International Award Architecture in stone 2009), Motta Architettura 出版、2009年

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フィリムでは第二期工事が始まっているらしい。

AAFの活動にご賛同いただける方は、ぜひ募金をお願いします。
郵便講座:00910-0-64819
加入者名:AAF基金


4 ottobre 2009
by fumieve | 2009-10-05 07:41
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