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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ラヴェンナ~春・3 サンタポッリナーレ・イン・クラッセ

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(この原稿は、数年前にまとめたものに、加筆・訂正を加えています)

「モザイクの旅」シリーズ
第1回:ラヴェンナ~春・1 サン・ヴィターレ教会
前回:ラヴェンナ~春・2 ガッラ・プラチディア廟

駅前からバスに乗って、20分ちょっと。延々と広がる緑の風景、畑の中の一本道を走るバス、そして向こうにレンガの塔のようなものが見えたら、それが、サンタポッリナーレ・イン・クラッセ(Sant’Apollinare in Classe)。





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紀元549年5月、当時の司教マッシミリアーノは、サン・ヴィターレ教会に続き、サンタポッリナーレ・イン・クラッセ大聖堂を献堂する。クラッセは、皇帝アウグストがこの近くに建造した港の名前、サンタポッリナーレ(聖アポッリナーレ)は、ラヴェンナの初代司教の名である。広い聖堂内に入ると、縞大理石の円柱が両脇をずらりと走り、中央と側廊を分けている。そのすっきりと、しかし見事な構造は、バジリカ式聖堂の見本のようでもある。

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大きな聖堂の中、モザイクが残るのは、正面アプシスのみ。それでも、これだけでも、やっぱりわざわざバスに乗ってでも、この緑のモザイクは見にくる価値がある。

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真ん中で手を広げた祈りのポーズで中央に立つのは、聖アポッリナーレ。そして、12頭の羊たちが彼を囲む。12人の使徒を表しているのだが、なんとも微笑ましく、そのシーンはのどかであたたかい。天に浮かぶ、大きな十字架の中心に、小さなメダルに収まって、キリストがいる。

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十字架の上には、「神の手」。文字通りというのか、万能の神の「手」にしてはあまりにも直接的な表現なのが、おかしい。

そして、キリスト、12匹の羊のモチーフは、その上でもういちど繰り返される。
1番上は、キリストを中心に、4人の福音書家のシンボル。ガッラ・プラチディアの廟で見たのと同じモチーフが、やはり空に浮かんでいる。

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余談。
先日訪れたとき、大好きな緑のモザイクを眺めて幸せに浸る私の、唯一気分を阻害したのは、ちょっと年配の監視員の男性。先日訪れたとき、ラヴェンナはどこへ行っても写真撮影OKで、最近はどこもせちがらく、なんでもかんでも「禁止」になっていることのないイタリアでかえって珍しくなってしまったくらいで、ありがたく、今後の資料用にと片っ端から写真を撮っていた。
例外なく、ここもバシャバシャやっていたのだが、その監視員、ほかにたくさんの人がカメラを構えているなかで、私に近づいてきて「フラッシュは禁止」と言う。使っていない。そう言うと、「私は見た」とのたまう。なんなら、撮影したもの、全部見せましょうか?フラッシュなんて使ってないの、一目瞭然ですよ、と言うと、首を振って「今回は見逃してやるけど、ともかく見た」の一点張り。
そういえば昔、パリの空港でもあった。手荷物チェックで、はさみか刃物が入っているとしつこく言われ、全部開けて、無いのを証明しているのに「今回は特別に見逃してやるけど」。

こういうの、大っ嫌い。「見逃して」くれなくて結構。だってこっちはやってないんだから。はっきり言って、向こうが間違えたのに、それを認めない。そのまま、人のせいにして、自分は立場をかさに、威張りきる。ほんとうに頭にくる。
ちなみに、パリではコトバの不自由もあって、こちらも不快ながら(先も急いでいるし)そこで終わったが、ここでは、「ほんとに全部写真見せますよ」と詰め寄ったらプイと逃げられた。
(ところがその後、戻ってきたと思ったら、気の毒にもほかの日本人女性に同じ言いがかりをつけていた。よほどもう一度詰め寄ろうかと思ったが、バカバカしいので我慢した。まったく呆れてものも言えない。)
余談終了。

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頭を冷やして、羊たちをもう1度見上げる。カワイイ・・・
そしてやはり、緑がきれいだ、と思う。
今度は近づいて、眺める。

半円蓋の下は、アーチ型の窓と窓の間に、やはりアーチの間、たくしあげられた幕の向こうにいる聖人が、こちらを見返している。ちなみにこの手の図は、ラヴェンナ市内のほかの教会にも似たようなものがあるのだが、それはまたそのときに。

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窓の、桟というのか、枠というのか内側の部分も、きれいに装飾してある。ルッカの聖堂を思い起こさせるような、模様のある柱のだまし絵がまたいい。

両壁の装飾は一切なくなってレンガがむき出しになっているが、その代わりというのか、当時の石棺がずらりと、並んでいる。ローマ時代の名残りのある、写実的な立体彫刻のものから、モチーフが形式化した浅浮き彫りのものまでいろいろあって、永遠の眠りのためのハコがよりどりみどり・・・。

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(続)

6 ottobre 2009
by fumieve | 2009-10-07 03:34 | モザイクの旅
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