あれはそういえば、
ちょうど1年前だった。
記録的な水位だけでなく、連続x日とか、月何回とか、去年はほんとうにいやになるほど、何度も何度もアックア・アルタになった。
今年はというと、夏にも何度かサン・マルコ広場がうっすらと水に覆われたり、なんとなく年中行事化した感じではあったが、本来は一番多いはずの11月に入っても、気温があまり下がらないと一緒にだらだらと水もそんなに上がらず、まあ、去年あれだけきたことだし、たぶんこの冬は少ないのだろうと思っていた。
いずれにしても、去年は幸いなことに、仕事でヴェネツィアの外にでかけるときには、うまくその合間を縫っていたが、今朝、とうとうそのときがやってきた。
数日前から、今朝8:30に130cmという予報(オレンジ警報)が出ていて、今朝は5時にあの情けない音のサイレンが鳴った。ほんとに・・・くる・・・らしい。
私は8:30にはとっくにヴェネツィアを脱出しているから、関係なし。・・・だが、まてよ、130cmから逆算して、出かける時間を考えると、うーむ、これはちょっと危険かも。
というわけで、この冬お初のゴム長靴をはいて、あとで履き替える普通のブーツを持って、家を出た。
案の定、通勤路はすでにこんな感じ・・・。
アックア・アルタのときは、その路地、河岸それぞれほんの少しの高低の差がてきめんに出るから、いつも通る道は、ここと、ここと、ここが危ない、というのがわかってくる。
ある程度は回り道などで回避できることもあるが、こうして水が上がっていく局面では、その回り道があだになりかねない。うろうろすればするほど、どんどん水に取り囲まれていくこともありうるから。
今朝は家から駅まで、どうしても水の中を歩かねばならなかったのが数カ所。ほとんどはまだ水たまり程度だったが、一カ所は足首くらいまであった。
もっとも、歩いて通過するだけならば、こうして最初から長靴で出かければそれで十分。実は、大雨が降っていたり、暴風が吹いていたりするのより、ずっと平静だったりする。
・・・なーんて、もう大丈夫かと油断したのか、「憲法橋」、通称「カラトラヴァの橋」を渡りかけていきなり、どさっ!
・・・っと大荷物ごと転んでいた。「転びやすい」と評判の(?)この橋、いつもうんと注意していたのに・・・。
あとで見たら、両膝に大あざ、左の膝小僧はしかも、すりむけて血がにじんでいた。この年で膝をすりむく、って一体・・・。(もっとも、そういえば先週はパドヴァでも滑って転んだっけ。)
(憲法橋の写真のみ、数日前のもの)
が、今日のほんとうの悲劇は、そんなことでは済まされなかった。
帰宅後に待ち構えていた災難は、水でもなく下からでもなく、そして外でもなかった・・・
(続)
30 novembre 2009