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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ヴェネツィアの作曲家を堪能(?)、「イレギュラーな島」

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今日はすっかり、典型的なヴェネツィアの冬となった。朝から晩まで、しろーい1日。

いいお日様が出た昨日は、がんばって懸案の壊れかけの本棚を直し、床にダンボール詰めになっていた本たちを何カ月ぶりかに棚に収めた。はー。しかしまだ、床にものが残っているのはなぜ・・・?

夜は、友人に誘われて(行く前に夕食もご馳走になって(笑))、ヴェネツィアの現代作曲家たちの演奏会に行った。その名も、L'isola irregolare(イレギュラーな島)。





ヴェネツィアの中にこんなところが?というような、ちょっとした公園の中にあるテアトロ・グロッジャ(Tetro Groggia)。もう何年か前にもここに現代音楽を聴きに来たが、前回は入口がわからなくて人っ子一人通らない暗闇の中でめちゃくちゃ迷った覚えがあるが(練習する音だけが聴こえてそれを頼りに壁沿いに歩いた・・・)、今回は友人の案内ですんなりとたどり着く。
1度、明るいときに、場所を確認に来よう、と思う。

入ってみると、以前は確か、正面にステージがあって、普通に講堂型に観客席が並んでいたのだが、昨日は、その縦に長い方向にピアノなどが置いてあって、それを取り囲むように椅子が並んでいた。アットホームでいい感じ。無料とはいえ、そんなに人も来ないだろうとたかをくくっていたら、結構いっぱい。
演奏は、Cecilia Vendrasco(フルート)と、Giovanni Mancuso(ピアノ)の2人。ピアノのマンクーゾ氏の簡単な説明で、演奏が始まる。

Claudio Ambrosini: Apocrifo (1984)、アップライト・ピアノ
Stefano Bassanese: Arbelos, Il coltello del calzolaio (1994)、ピアノと電子ピアノ
Ernesto Rubin de Cervin: Fiori n.1 (1993)、フルートとピアノ
Marino Baratello: Flautista (2003) 、フルート・ソロ
Luigi Nono: ...sofferte onde serene...(1976)、ピアノと磁気テープ
Bruno Maderna: Honeyreves (1961)、フルートとピアノ

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作曲家の中で唯一名前を知っていたルイージ・ノーノ以外は、みな現役らしい。演奏が終わるたびに、それぞれが前に出て、演奏者と握手を交わす。
ふむ。
現代音楽は、ほんとに知らないだけに非常にコメントが難しい。「さっぱりわけがわかりませんでした」と言うのは、まるで自分がゲイジュツを理解しないマヌケみたいな感じがしてしまう。
アート、いや、ヴィジュアル・アート(視覚芸術)というべきか、現代アートでも全く同じことがおきるのだが、アートの場合は、わかる・わからないは別にして、好き・嫌いがもっとはっきりと出やすい気がする。
音楽の場合も、人によってはそうなるのだろうか?それとも私でも、単に場数を踏んでいないだけで、もっともっと聴いているうちに、そうなってくるのだろうか?
言えることは、この手の現代音楽になると、演奏者を選ぶ・・・というか、誰でも演奏できる、というものでもなくなってくるらしい、ということ。技巧的な難易度が高い、というよりは、クラシックの枠を超えた演奏を要求されることが多いから。ヴィジュアル・アートとの決定的な差も、そこにある。作曲家=演奏家でない場合、どこからどこまで演奏家にゆだねられるのか。
昨日の音楽は、嫌いではない。興味深い、と思う。もっと楽しむには、もう少し理解が必要なのだろう、きっと。
芸の道は、(それを享受するほうにもちょっと)厳しい。

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24 gennaio 2010
by fumieve | 2010-01-25 07:50 | 聞く・聴く
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