ヴェネツィアの浮かぶ、このアドリア海北部のラグーン(潟)では、舟漕ぎたちのレースやお祭りが、年間約150ほど存在するらしい。規模の大小や場所、目的もさまざまだが、その中の中心的存在なのが、歴史的レガッタ(Regata Storica)。
毎年9月の第一日曜日に行なわれているのは、第二次世界大戦後以来の恒例。ラグーナの中でも、サンマルコ湾からスタートし、カナル・グランデをさかのぼり、サンタ・ルチア駅前で折り返し、最後は、ヴェネツィア大学本部、カ・フォスカリ前でゴールするという同じラグーナ内とはいえ町のど真ん中で競うレースは、150のレガッタの中でももちろん最大の花形。
ヴェネツィアではすでに12世紀初めから、舟漕ぎたちのレースが記録されているが、もともとは庶民のお祭りであったレース、が、とくにこの、カナル・グランデを使うレースを重要視し始めたのは、19世紀末から。
統一イタリア吸収後のヴェネツィアで、近代化の一方で当時の政治家らは「共和国」時代の伝統文化の復活にも熱心だったらしい。現代のビエンナーレ国際美術展の元となる、1895年の「国際美術博」の際、公式イベントの中にレガッタも含まれており、内外のVIPの参加によるイベントは大成功を納めた。ここで初めて、当時の新聞で「歴史的」という表現が使われたという。
名称は時代を反映し、歴史的、王立、ファシズム、インペリアル、そして「解放の」レガッタと変化していくが、1946年からは「歴史的」に統一された。
続く:つまり・・・